解説:文葉

アンボワテ

(仏/emboite)

 ジャンプのパは、やっぱり難しい。片足で踏み切るジャンプは特に。その中でも、取り分け、助走をつけず連続して飛び跳ねるアンボワテは悩ましいったらありゃしない。更に我々を苦しませることに、アンボワテは、跳ねながら回転して移動したり、つま先立ちだったり。バリエーションに富み、それぞれ難儀なのです。
 アンボワテとは、箱詰めにした、はめ込んだという意味です。アンボワテが見られる有名な踊りといえば、『白鳥の湖』第2幕の「4羽の白鳥の踊り」。小さな白鳥が手をつなぎ横一列になって足さばきを見せるあの踊りです。プティパの振付はアンボワテが頻繁に出てきます。
 履物を履く動作に似ていると思いませんか。片足を小さな空間にそろりとはめ込もうとするでしょう。体は片足を上げるからバランスを取るようにして。両足履くので、次は重心を移してもう片方の足も同様にそろり。実際は履く間もなく、足を上げたら靴にぴったり瞬的に納まったイメージですが。基本の動作は、「交互に膝を曲げ持ち上げ、足を交替させる」。前後の動きです。右足前の5番ポジションから、右足を前にシュル・ク・ドゥ・ピエ、もしくは前45度の高さのところで膝を曲げながら止めます。このとき軸足は軽くプリエ。次に跳ね上がって足を交替、左足の膝を曲げ前に差し出し着地、軸足は軽くプリエ。以上がアンボワテ・アン・ナヴァン。右足前から動足をすべて後ろに付けるのがアンボワテ・アン・ナリエール。膝を高くするグラン・アンボワテもあります。舞台などでよく使われて、最初は低く徐々に膝を高くするようです。回転する場合は、アン・ドゥダンとアン・ドゥオールを半回転ずつするイメージで。最初右に半回転します。左足を前の足首かひざ下に持ってきて、体全体は背中を向けることになります。次にさらに右に半回転、今度は正面を向いて、動足の右足が足首かひざ下。このとき腕が足をリードするように使いましょう。左足が持ち上がっているときは左腕を丸め、右足の場合は右腕が丸められる。
 アンボワテを成功させる秘訣とは何か。いかに美しく無駄なく足を交換するかではないかと私は思っています。移動せず、その場でアンボワテをする場合は、跳躍して最も高いところで両足が伸びきり一番のソテが見えるようにする。次に、移動する場合、足を下ろす方を重要視した方がうまく行きます。動足は膝を曲げ止めるような動きですから、一つのカウントでピタッと止まってしまうわけです。それに合わせるためには、素早く軸足は着地していなければなりません。動足よりも早くリードするぐらいの気持ちで足を下ろす。回転する場合も同じです。ピケで回るときはとにかく床を突き刺すことに集中してみて。曲げる脚は後から付いてくるぐらいの気持ちで。多少のぐらつきに動揺しなくなると思うのですが。どうでしょう