解説:文葉

シュル・ク・ドゥ・ピエ(仏/ sur le Cou-de-pied)

直訳すると「足首の上に」。足を5番ポジションに組み、軸足の足首に動足のつま先やかかとを寄せて重ね合わせ、ときには足の裏全体で足首をくるんでしまうポーズのこと。いずれも動足のつま先は床に向けて。見た目はルティレの足首バージョンといったところでしょうか。レッスンでは略して「ク・ドゥ・ピエ」と呼ばれることが多いでしょう。
クペやフォンジュ、デヴェロッペ、フラッペなどなど、バレエの動きの中で欠かせないこのク・ドゥ・ピエ。ク・ドゥ・ピエをするときの約束事は“つま先は後ろへ、かかとは前へ”。前のク・ドゥ・ピエだろうと後ろのク・ドゥ・ピエだろうと、この合言葉は変わりません。
前のク・ドゥ・ピエは、派によって違いがあり、足首をくるむものとくるまないもの2種類あります。前者は動足のつま先を軸足の内側のくるぶしに置き、甲を美しく伸ばします。後者は軸足の足首に動足のかかとを寄せ、足の裏を軸足の足首にまとわせながらつま先を後ろへ持っていきます。甲は伸ばしつつですよ。正面から見ると動足はかかとしか見えず、つま先は軸足の後ろへ隠れている形。
後ろのク・ドゥ・ピエは1種類しかありません。動足のかかとを軸足の足首へ寄せ、動足の甲を美しく伸ばす。ちょうど前のク・ドゥ・ピエのくるまない版を、形を変えずに後ろへ持ってきた形になりますね。どちらも“つま先は後ろへ、かかとは前へ”を守って、前では軸足につま先しか触れず、後ろではかかとしか触れません。
厄介なのは、くるむバージョンかもしれません。これはターンアウトがしっかりできていないと非常に難しいのです。逆にいえば、この形をマスターすれば、股関節周りの筋肉をほぐし、脚全体のターンアウトに役立つということ! さらにバレエのどんな動きをしようとも「かま足」になることを回避できるのです。このくるむバージョン、振付家バランシンがご執心で、レッスン中この動きだけを繰り返し練習することも。ダンサーたちに大切さを説き、完璧さを求め、あたかも生まれつきできる動作であるかのように身体になじませることを望みました。このポーズと5番ポジションの間の動きにも細かな指導があって、後ろの5番ポジションにしまうときはつま先から動かすな。かかとが先に5番へと動くように。(内側のくるぶし付近の筋がほぐれていき、かま足防止に効きそうです。)さらに、ク・ドゥ・ピエと5番ポジションの間にドゥミ・ポワントを見せないで、とも…。
足全体を強くしなやかに、ターンアウトをキープしどんなときも足元を美しくするために、ク・ドゥ・ピエをないがしろにしてはならないのですね。
最後にもう一度胸に刻みましょう。つま先は後ろへ、かかとは前へ。