(荒部 好)

バレエ名作物語Vol.4『くるみ割り人形』 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS

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新国立劇場バレエ団のバレエ名作物語シリーズ第4弾は、牧阿佐美芸術監督の改訂振付・演出による『くるみ割り人形』。主演は、王子が山本隆之、金平糖の精が小野絢子、クララが伊東真央で、昨年末に新国立劇場で収録された映像が収められている。

世界中で愛され、クリスマス・シーズンはもちろんのこと一年中どこでも上演されているチャイコフスキーの『くるみ割り人形』は、じつに様々なヴァージョンがある。このもっとも人気のあるバレエを、それぞれのバレエ団がオリジナルなヴァージョンとして定着させようと試みることが多いので、『くるみ割り人形』には世界のバレエ団の数ほどヴァージョンがあるのではないか、と思われるほどだ。

牧阿佐美版『くるみ割り人形』は、女性の振付家らしくクララの夢の繊細さや現実感を尊重して改訂を加えている。
まず、ドロッセルマイヤーがサンタクロースだった、というアイディアは、『くるみ割り人形』自体がクリスマスイブのプレゼントをめぐる夢を描いているのだから、ピッタリと嵌まる。むしろ嵌まりすぎるくらいだから、現代の東京からポフマンの時代へタイムスリップして物語が展開する、というもうひとつのアイディアが生きてくる。クリスマスになると東京のあちこちに姿を現すサンタとともに『くるみ割り人形』の世界へトリップする、それはまさに”夢のように”楽しいことだから。
こうした新しいアイディアから、装置が一新されて美しいモダンな感覚の印象を与える『くるみ割り人形』が出来上がっている。いわゆる<クラシック・バレエ>というイメージにとらわれることなく、素直に楽しめる舞台なのである。
小野絢子の金平糖の精と山本隆之の清潔感のあるグラン・パ・ド・ドゥが、この舞台の特徴をいっそう際立たせている。
新国立劇場バレエ団のメイキング「新制作・くるみ割り人形」と、さいとう美帆主演のこどものためのバレエ劇場『しらゆき姫』のハイライトとインタビューが特典映像として収録されている。

牧阿佐美(新国立劇場バレエ団・芸術監督)(著・監修)
価格:3,990円(本体3,800円)