令和元年台風 19 号により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

【第53回】アンデオールで立つ

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。

チャコット横浜スタジオにて行いました特別講座「教えて!カラダの使い方」で寄せられた質問の中でも、アンデオール(外脚)に股関節を保つ上で、立っていられないとか、骨盤や背中をキープできないなどの、バレエのポジションを取ることで生じる悩みが多かったです。

今回は「アンデオール」について、色々と考えてみましょう。

アンデオールとは?

バレエでは股関節から脚を外旋(外に回す)させて、いわゆる「ガニ股」で立って踊る「アンデオール」のポジションが共通語になっています。足元だけ見ると、1番ポジションならば両足が180度開いているという、普通の日常生活には出てこない特殊な立ち方をします。小さい頃からずうっとバレエのレッスンをしてきた人には当たり前のように感じられるかもしれませんが、体が成長してからバレエを始めた方には、立っていることも難しく感じるポジションかもしれません。
形にこだわって無理な体勢を作り、動けないほどになってしまうようでは「踊り」から遠ざかってしまいますし、無理な力は体を変形させてしまう癖を生み出してしまうこともあります。
今一度アンデオールを見直して、自由な踊り、自由な体を手に入れましょう。

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回すより置き方が大事

足首から下の状態を見てみましょう。1番ポジションで180度に足を開くことは関節の都合上、足首を大分ねじっています。ここで大切なのはそれを、無理な力で行なっているか自然に感じるかの違いです。無理な力を加えれば加えるほど、本当に立ちたい重心の位置から外れていくことになります。

足首から下の部位に、どのような力が入っているか確認してみましょう。
足がよく開く人も、あまり開かない人も、程よい1番ポジションに立ってみて。
足裏をしっかり地面に押し当てて滑らないように。
そこからもっともっと足首下を外巻きにしていく力を入れていきましょう。
次に反対に内巻きにねじ込んでいく力を入れてみましょう。

1番をさらに外へ回す.jpg

1番をさらに内へ回す.jpg

足を外側へ無理に回そうとすると、足裏に掛かる重み、重心の位置がより踵(かかと)の方へ、小趾(こゆび)の方へ詰まっていく感じがしませんか?そして、もっと外回しにしようとすると、母趾(おやゆび)から全部の足ゆびが反り返ってくるでしょう。
足を外巻きにすればするほど、足全体が「ゆび先から足首へと引けてくる」ということになります。

それとは逆に「土踏まずのライン」を、踵から母趾の付け根に向けて貼り付けていくように立ってみるとどうでしょう?これが「内巻きの力」になります。

外巻きで詰まる.jpg

土踏まずを貼り付ける.jpg

足元の状態は全身に影響する

足元を無理に外巻きにする力をどんどん強くしていくと、体の他の部位はどのような感じがするでしょうか?
例えば股関節の周り。前ももとお尻の筋肉がお互いを強く引き合うような。よくよく考えると、股関節が沈んでいくような感じがすると思います。足裏の重心の置き位置がゆびから踵へと引けていくので、当然ながら体も後ろへと引けていきます。代わりに後ろへ倒れまいと、肩が突きあがるような力が入っていきます。

外に巻く力の方向性は「後ろに引く」と「筋肉を締め下げる」に当てはまります。
それに対して内巻きにする力。土踏まずをしっかり押す力は「前に起き上がる」と「筋肉を積み上げる」の感覚を得ることができます。
力の方向性の違いを、イラストで確認してみましょう。

外巻き下がり.jpg

内巻き上がり.jpg

今回のお話では「土踏まず」が大きなポイントになっていましたが、土踏まずと言えば「アーチ」のことを考えるでしょう。
土踏まずのアーチも「ゆびから踵の方へ」と引けるような締め方は、アーチそのものを「使えないもの」「落ちるもの」となり、「踵からゆびの方へ」と広げる、張るような力が、よりアーチを高く、広く張るような「動きのあるもの」へと変わります。
ルルヴェで土踏まずが浮いていても。足が動いて移動している時も。いかなる時も「土踏まず」はその輪郭で丸ごと意識して、どこに向かっているかを感じてみましょう。

土踏まずの向かうところ.jpg

Check
>>> 【第53回】足ゆびエクササイズ - エクササイズ-

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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