【第52回】移動式スクワット - エクササイズ-
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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
スクワットの目的
スクワットと聞くと「太ももをムキムキに鍛える」というイメージを持ってしまう人もいるでしょう。プリエも真の意味で繰り返してみると、心が軽やかになるものですが、実際のところは辛い、キツいという気持ちが沸いてくるのでは?
プリエもスクワットも「体重を支える、踏ん張る」とかいうものでなく、次に来るモーションの為の「動きの導入部分」になります。例えば「しっかりプリエして、しっかり跳び上がる」など。
次に来る動き、目的がより明確に。正確であればあるほど、プリエの精度は上がっていきます。
一歩踏み出すスクワット
両手を頭の上で重ねて、股関節幅に立ち、真っ直ぐ前を向いてみましょう。どちらかの脚で大きく一歩前に踏み出して、両足に均等に体重が掛かるようにプリエ(写真参照)。同じ脚を元の位置に戻しましょう。左右交互に繰り返します。
アンデオールの1番で立ち、どちらかの脚を横へ踏み出して2番ポジションのグランプリエ。同じアクションを横の動きで行います。
前でも横でも、正確な動きを追究することで、全身に良質な学習をさせることができます。
両かかとの置き位置、戻し位置を先に明確に意識して、バッチリそこを踏めるように集中してみましょう。
このスクワットのような動きが、レッスン時ではトンべやシャッセからのルルヴェアップなどに見られます。
僕の見解としては、脚の運びが少なかったり、歩幅が小さい故に、裏ももの伸びが足りず、前ももが詰まるようにプリエしている人を多く見かけます。
本編で紹介したように、股周りの「シワ」が全部なくなるような「大きい歩幅のプリエ」に体が慣れていくように、目指して下さい。
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。