【第60回】サイドキック&サイドアーム - エクササイズ-

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。

腕や脚が上手に上がらない。以前より上がらなくなってきた。などの声はよく聞きます。
腕や脚は「頑張って上げようとする力」を鍛え続けるよりも、そもそもの「上がる感じって?下がる感じって?」を学習することが大事だと思います。
本題でお話ししたように「真上に伸びる感覚」を実感してみましょう。

サイドアーム

サイドアーム1.jpg

サイドアーム2.jpg

横向きのポジションを取りましょう。肩のラインを意識するので、頭は床に水平に寝かせましょう。両脚はバランスを取りやすいように、曲げておくのがオススメです。
上にきている側の腕を、まっすぐ天井に向けて上げて、まずはピクリとも動かさずに深呼吸を繰り返しましょう。

胸側と背中側の揃うべきライン.jpg

感じてほしいポイントは「腕が上に向かっているか?」です。
胸側の鎖骨、上腕骨、橈骨、親指〜中指が、揃って天井を目指しているか?
背中側の肩甲骨、上腕骨、尺骨、薬指&小指が、同じく上を目指していて、どれか一つでもよそを向いていないか?
慣れてきたら、ゆっくり天井をかき混ぜるように、クルクル渦巻きに回してみましょう。

サイドキック

脚をまっすぐ真上に向ける、という感覚を得ることは、立っているときにはなかなか難しいことだと思います。
サイドアームで横向きになることで得た「腕を天井に向ける感覚」と同じように、脚も真上に向けて「登る、伸びる感覚」を得てみるとどうでしょう?

サイドキック.jpg

サイドキックの動き.jpg

脚を自分の体の方へ寄せる感覚から離れて、お腹もお尻も、脚の表と裏も全て「天井に触れにいくつもりで」伸ばして。しばらく止まったままで深呼吸。
慣れてきたら脚を上げたり下ろしたり「大きく弧を描くライン」で動かしてみましょう。

腕も脚も。体のどの部位であっても「まっすぐ上に向けている」と、骨が上向きに残り、皮や肉がゆっくりズルーリと、ペンキが垂れ落ちてくるような感覚は、誰にだって理解できると思います。
それが垂れてこないようにずうっと上向きに上げておこうとする様が「張りを維持する力=強い伸び」となります。
しなやかでおおらかに。それでいて強い踊りをするには、「伸びの力」をよく知り、自在に操れるように練習してみて下さい。

ズルーリ落ちると落とさない.jpg

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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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