【第53回】足ゆびエクササイズ - エクササイズ-

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。

以前より足ゆびを開く「足ゆびパー」のエクササイズを紹介してまいりましたが、今回はまた一味違った「足ゆびエクササイズ」を紹介したいと思います。

「足ゆびを鍛える」となると、やはりタオル掴みなどの「足ゆびグー」のエクササイズがまっ先に思い浮かぶかと思います。足ゆびをしっかりとグーにできる、ということは「しっかりと力が入るかどうか」を知る上で必要なことですが、現代の暮らしの中では足ゆびの骨は、縮むように引くことは多くても、広がるように押し出す機会がなかなか少ないので、足ゆびが短くなるより、なんとかして長くなるような要素を取り入れることが重要です。

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足底部(足裏)のストレッチ

本編でもご紹介しました「土踏まず」ストレッチしながら運動させます。
股関節幅のパラレルで足先をまっすぐ前に向けて立ち、足ゆびを床から浮かせて、しっかりと反らせた状態で維持します。

足ゆびフレックス.jpg

上の写真のように、足ゆびを突然フレックスさせて起こすと、まず重心がゆび先から踵の方へと移り、後方に引いているような感覚になるでしょう。これは足ゆびを咄嗟に引いたことで起こるアクションであり、足の甲も裏も両方共に、引いて固まっている状態になります。

動き始めは足ゆびを強く引いてしまい、踵重心になったとしても、足ゆびをフレックスで起こしたまま、ゆびの付け根の方にゆっくりと体重を掛けにいきましょう。土踏まずが思い切り伸びて張っている状態のまま頑張って床を押しているはずです。
そのまま足ゆびをフレックスで土踏まずを張ったまま、プリエ=スクワットしてみましょう。

土踏まずの重心の手順.jpg

そのままスクワット.jpg

足ゆびで押す力

次に、足ゆびそのものでどれくらい床を押せるかのチェックです。
本当に入れたい力とは、五本の足ゆびで均等に押す、を目指したいところですが、今回は母趾(おやゆび)を鍛えます。
どちらかの足をタンジュで出して、その足の母趾の第一関節だけ床に着いて、体重を掛けていきます。足ゆびが「引く、曲がる、掴む」のいずれの状態でも、体重を支えることはほぼ不可能です。母趾を力強く「出す、伸びる、押す」の方向でキープしてみましょう。

タンジュのおやゆびで支える.jpg

そのままの姿勢でタンジュの足だけ、デュミポワントとポイントに、昇ったり降りたりを繰り返します。鍛えるとなると、誰でも「ポイントに昇ること」を頑張ってしまうところだと思いますが、足ゆびが伸びるように動くことを意識するためには「足ゆびを伸ばしたまま、丁寧に降りる」という部分に集中したいですね。

デュミとポイント1.jpg

デュミとポイント2.jpg

これらの「足ゆびが伸びる動き」が自分の足に定着してくると、しっかり大地を感じることや、そこから広がっていく「安定した踊り」が何なのか?が少し解ってくると思います。
毎日何らかの行動に必ず関わっている「足ゆびの働き」です。しっかり鍛えてあげましょう!

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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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