(荒部 好)

『MARCO SPADA (マルコ・スパダ)』

音楽/ダニエル-フランシス・オベール
振付・美術・衣裳/ピエール・ラコット
0911dvd.jpg

『マルコ・スパダあるいは盗賊の娘』は、1852年にオベールが作曲し、『パキータ』や『海賊』を振付けたことで知られる、ジョゼフ・マジリエが1857年にパリ・オペラ座で初演している。
ラコットは、当時、世界中で活躍していたヌレエフを招いて、1981年ローマ歌劇場でこの作品を復活初演した。ヌレエフはもちろん主役のスパダに扮し、ラコット夫人でパリ・オペラ座バレエ団のエトワールだったギレーヌ・テスマーが娘のアンジェラ、その恋人役はやはりエトワールだったミカエル・ドナールが踊っている。この映像は1982年にローマ歌劇場で収録されているが、初演と同じキャストである。

ヌレエフは当時44歳だが、この映像で観ると全盛期を彷彿とさせ、まるで一番若いダンサーのようにエネルギーに溢れている。いくつか踊られる圧巻のソロでは、キャラクター・ダンスのように、ダンスの見せ場をショー・アップして観客にアッピールして喝采を浴びている。彼は豹にも例えられたが、ネコ科の動物を想起させる俊敏な動きが、泰西名画中のような衣裳の人物たちと踊って絶妙なアンサンブルをみせる。じつに得難い不思議な天性のキャラクターをもったダンサーである。
しかし、もっとも素晴らしいのはオベールの音楽かも知れない。曲が聴こえてくるだけで、もうこの作品の舞台の明るく楽しいスペクタクルの雰囲気が溢れ出るように感じられる。フランスのエスプリとイタリアのアモーレのスピリットが、良い具合にブレンドされた豊穣なバレエである。

ハーディクラシック輸入盤 ローマ歌劇場バレエ
「マルコ・スパダ あるいは盗賊の娘」(全3幕)
[特典映像]  
ピエール・ラコット=インタビュー
ヴィットリア・オットレンギ(プロデューサー)=インタビュー
[配役]
マルコ・スパダ(盗賊):ルドルフ・ヌレエフ
アンジェラ(マルコの娘):ギレーヌ・テスマー
サンピエトリ(ローマ知事の娘):ルシア・コロニャート
フェデリッチ公爵(知事の甥):ミカエル・ドナール
ペピネッリ伯爵(ドラゴン隊の隊長):アルフレード・ライノ
フラ・ボロメーオ(修道会の出納):フランチェスコ・ヌッチテッリ
オソリオ公爵(ローマ知事):アレッサンドロ・ヴィゴ
ローマ歌劇場バレエ
(日本語字幕無し)