荒部 好

『真夏の夜の夢』(全2幕)ミラノ・スカラ座バレエ団

GORGE BALANCHINE 『A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM』
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 シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』は、古くはプティパ(1876)やフォーキン(1906)が振付けているが、近年よく踊られる舞台としては1962年に初演された、このバランシン版が最も早い時期に創られている。その2年後には、アシュトンが『The Dream』というタイトルで1幕物のバレエを創った。ハンブルク・バレエのノイマイヤーも1977年に振付けている。最近では、ビゴンゼッティが2002年に振付けているが、音楽はエルヴィス・コステロを使っている。』
バランシンは、メンデルスゾーンの他の音楽も加えて全2幕に振付けている。
とりかえばやのおもしろさや、ロバの頭に変えられたボトムに夢中になるタイターニアのエピソードなどよく知られているエピソードが繰り広げられる第1幕で、物語は帰結し、第2幕は華麗な踊りの饗宴となる。
バランシンは、ノンプロット・バレエなどモダンな作風で知られるが、「結婚行進曲」を使った壮麗なシーンなどを見ると、彼の胸中には、サンクトペテルブルク時代の郷愁が深く根を下ろしていて、彼の創る舞台にも大きな影響を与えていることが感じられる。バランシンでなければ創ることのできない、じつに魅力的なダンスシーンである。
ミラノ・スカラ座バレエ団の映像では、タイターニアはアレッサンドラ・フェリ、オーベロンはロベルト・ボッレと、最高のキャスティングで素晴らしい場面を次々と展開している。
バランシンの深い人間洞察が、今日でもヴィヴィッドなユーモアを感じさせる。ミラノ・スカラ座バレエ団はよい作品をレパートリーにしていると思う。

ミラノ・スカラ座バレエ団「真夏の夜の夢」(全2幕)

出演:
タイターニア…………アレッサンドラ・フェリ
オーベロン……………ロベルト・ボッレ
タイターニアの騎士…マッシモ・ムッル
パック…………………リッカルド・マッシミ
ハーミア・・・・・・デボラ・ジスモンディ
ライサンダー・・・・・・ジャンニ・ギスレーニ
ヘレナ・・・・・・ジルダ・ジェラーティ
デメトリアス・・・・・・ヴィットーリオ・ダマート
パ・ド・ドゥ(第2幕)・・・・・・マルタ・ロマーニャ、ミック・ゼーニ
他ミラノ・スカラ座バレエ団

振付:G.バランシン 初演:1962年
音楽:F.メンデルスゾーン
演奏:ニール・カバレッティ指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団
美術・衣装:ルイザ・スピナテッリ
収録:2007年2月 ミラノ・スカラ座
原作:W.シェイクスピア ”A Midsummer Night’s Dream”
再生時間:104分