荒部 好

『マチュー・ガニオ&カルフーニ』

Mathieu Ganio & Dominique Khalfouni

 マチュー・ガニオの初舞台は、ローラン・プティ振付の『マ・パヴロワ』だった。確か、3歳だったと思う。私はバルセロナのリセオ劇場(焼失以前)でこの舞台を観た。マチューはカルフーニに抱かれて、ピエロの服を着た愛らしい姿で登場した。
この公演の最中に私は、ドミニク・カルフーニとドゥニス・ガニオ夫妻(当時)に、劇場の客席でインタビューしたが、その時、カルフーニにまとわりつき影に隠れるようにしてはにかんでいたマチューの姿を、今でも鮮明に記憶している。
しかし、この映像では、カルフーニの印象はあまり大きな変化がないのだが、当然のことながらマチューは立派に成長して、パリ・オペラ座バレエ団のエトワール。押しも押されもせぬ世界のトップスターダンサーである・・・・。

 カルフーニが、当時の人々にどれだけ愛されていたかは、ここで彼女についてコメントを述べている顔ぶれをみただけで諒解せざるをえないだろう。バリシニコフ、ワシーリエフ、ドナールそしてラコット。70年代80年代に一世を風靡した人たちが、口を極めてカルフーニの魅力を讃えている。
彼女はシルヴィ・ギエムよりもおよそ10年ほど以前に、新しいバレエの世界を求めてパリ・オペラ座を離れて、ローラン・プティ率いるマルセイユ国立バレエに移籍した。この映像の中でも、当時を振り返って移籍先のマルセーユのオペラ座が小さくてみすぼらしかったので、少なからず失望した、と語っている。しかし、そのように大きく環境を変えたにも関わらず、多くの人々が彼女を褒めそやす。それはやはり、彼女の人格のなせる技というべきだろう。

 マチューは『ドン・キホーテ』を踊ってエトワールに昇格したが、その時パートナーのキトリを踊った、アニエス・ルテステュが愛情のこもったコメントを寄せている。そして2人が、マクレガー振付の『Genus』のリハーサルと本番を踊る映像も収められていた。

『マチュー・ガニオ&カルフーニ~2人のエトワール~』
Mathieu Ganio & Dominique Khalfouni
4,410円(本体価格4,200円)
クリエイティヴ・コア
コロムビアミュージック エンタテインメント