荒部 好

『ボリショイ・バレエ学校のすべて』

 日本でもボリショイ・バレエ学校として親しまれているモスクワ国立舞踊アカデミーは、1773年に創立された。創立といっても孤児を養う養育院で、舞踊の教育が始められた時を起源としている。

当時バレエは、ロシア皇帝のお膝元で帝室マリインスキー劇場のあったペテルブルクが発展、先行していたので、時折、教師が派遣されて学校のいっそうのレベルアップがはかられた。ザハーロフ、ラヴロフスキーなどもペテルブルクからモスクワに移って来たバレエ・マスターである。1940年代以降には、プリセツカヤ、ワシーリエフなどモスクワ独特の優れたダンサーを輩出した。

この映像は、2003年のまったく新しいモスクワ国立舞踊アカデミーの姿が紹介されている。まずは校長のマリーナ・レオノワが学校のクラスや生徒の審査風景を案内してくれる。この学校では、厳しい審査によって毎年44名の生徒しか入学が許されない。

『眠れる森の美女』をボリショイ劇場で踊る生徒の緊張した表情をバックステージに追ったり、生徒自身のモノローグ、両親の声、教師の言葉など活き活きとした映像が続く。なかでも、バレエ・コンクールで思いがけずグランプリを受賞する生徒の姿は印象的。近年では、ニーナ・アナニアシヴィリやイレク・ムハメドフ、ウラジーミル・マラーホフなどが巣立っていったモスクワ国立舞踊アカデミーの珍しいドキュメンタリーである。


『ボリショイ・バレエ学校のすべて』 未来のスターダンサーを夢見て
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