荒部 好

『THE Glory OF THE KIROV キーロフ・バレエの栄光』
『THE Glory OF THE BOLSHOI ボリショイ・バレエの栄光』

 バレエは一瞬のものである。栄光の舞台で華麗に繰り広げられた美しい踊りも、瞬間、瞬間で消えて行く。しかし、映画が誕生してからはバレエのライヴ・ステージをフィルムによって記録することができるようになった。実際、最初期の映画は、動きを見るものを撮らなければ意味がなかったから、ダンスにも大いに関心を示している。某大な映像を残したルミエール兄弟のフィルムの中には、ダンスを撮影したフィルムがかなり残されている。その後、映画は映画独自の芸術として発展し、舞踊も様々な才能によって変貌をとげた。

 そして、映画はダンスの歴史としばしばクロスし、今日の舞踊にとってたいへん貴重な映像を残している。特に優れた舞踊の才能が花開いたロシアに残されていた映像を編成したものが、「キーロフ・バレエの栄光」と「ボリショイ・バレエの栄光」である。

「キーロフ・バレエの栄光」には、タマラ・カルサーヴィナの「レッスン」が収録されている。カルサーヴィナは、むろん、あのディアギレフ率いるロシア・バレエ団でニジンスキーの相手役としても活躍した超有名なバレリーナである。1920年頃とされていて、このディスクの中では最も古い映像である。それにしても映像の修正ぶりもまた凄い。恐らく後半部分などは、カルサーヴィナが踊っている床や背景などもすべて、ヴァーチャルに蘇生されたもののようである。

 その他には、ヌレエフ、マカロワ、バリシニコフの亡命以前のロシア時代の映像や、ドゥジンスカヤとセルゲーエフ、コルパコワとセミョーノフ、ウラーノワとセルゲーエフなどのパートナーシップも見ることができる。

「ボリショイ・バレエの栄光」の中で最も古い映像は、シューベルトを踊るエカテリーナ・ゲリツェルとワシーリー・ティホミ-ロフで1913年となっている。他にセミョーノワの34年の映像、レペシンスカヤとグーセフ、メッセレルの40年の映像。さらに黒鳥のパ・ド・ドゥを踊るプリセツカヤは47年である。また、マクシーモワとワシーリエフ、ラヴロフスキー、チャブキアーニ、ロシア時代のムハメドフなどの映像があり、ソ連バレエの最盛期を垣間見せてくれる。




 

『キーロフ・バレエの栄光』
\4,900 (本体価格\4,667)

『ボリショイ・バレエの栄光』
\4,900 (本体価格\4,667)