(荒部 好)

『未来のエトワールたち』パリ・オペラ座バレエ学校の一年間

昨年、創立300周年の記念行事を華々しく行った、パリ・オペラ座バレエ学校のドキュメンタリー映像を収録したDVDが刊行された。8歳から18歳まで約130人の生徒たちの一年間を追い続け、最上級生はオペラ座バレエ団への入団試験を受け、それ以外の生徒たちが、それぞれ昇級試験を受けるまでを密着して捉えている。

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全体は6つのエピソードに分けられ、「新学年」「鍛錬!」「上達」「別世界」「公演」「試験」「特典映像」となっている。
子供たちはパリ郊外のナンテールにあるバレエ学校に入学してくる時から、興味津々でじつに表情豊か。オペラ座独特の顔見せの儀式である「デフィレ」や『卒業舞踏会』のリハーサルに入っていく。期待を胸に膨らませて、活き活きと演技し、ノビノビと踊る。まさにイノセントな感動的な情景である。
しかし、寮にに入って同じ仲間たちとずっと一緒に学び、24時間を共にする。プロフェッショナルのバレエダンサーになるための厳しい訓練を受け、普通の教科も学ぶのだ。そしてやがては舞台に出る日を迎える。そうなると役のつく人とほとんどその他大勢とともに踊る人に別れる。もちろん、人間だから感情がゆれや起伏が生じる。しかし、そうした状態に耐えることもまた、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーとしての最高位「エトワール」になるための試練である。
教師たちにも懐かしい顔があった。カルロ・アルボ、ファニー・ゲイダ、エリック・カミヨ、彼はクロード・ベッシー時代のバレエ学校の本に顔を出していた。彼はもう、オペラ座でのキャリアを終え、今はバレエ学校へ教師としてカンムッバクしているのだ。現・校長のエリザベット・プラテル、現・芸術監督もかつてオペラ座のディレクターを務めたことのあるヴィオレット・ヴェルディ。つい最近までオペラ座の舞台に立っていたウルフリード・ロモリ、オペラ座の教師となっているローラン・イレール、さらにはフランチェスカ・ズンボー、ジェローム・ベル作品のタイトルにもなったヴェロニク・ドワノーの姿の映っていた。
そして試験結果の発表があり、悲喜こもごもの情景が例によって繰り広げられ、結局、この年のバレエ団入団試験では、アリス・カトとアントニオ・コンフェル見事に合格し、オペラ座バレエ団入団が決まった。ここに収められた映像の中から、いったい誰がスター・ダンサーとなりエトワールの道を歩んでいくのか、興味深いものがある。特典映像として「世界最高のバレエ学校に入るためには」も収められている。

『未来のエトワールたち』
監督/フランソワーズ・マリー
2012年、日本語字幕あり
定 価/6300円(税込)
発売元/AreaB