荒部 好

パリ・オペラ座バレエ『ラ・シルフィード』全2幕

『ラ・シルフィード』は、言うまでもなくロマンティック・バレエの傑作である。1832年にパリ・オペラ座で上演された歴史のあるバレエだが、初演のフィリッポ・タリオーニ版の振付は失われてしまった。しかし、初演4年後の1836年に、オーギュスト・ブルノンヴィルが音楽を変えて振付けたヴァージョンは、ほぼそのままデンマーク王立バレエ団に継承されている。
 振付自体は失われてしまったが、フィリッポが娘の史上最高のバレリーナともいわれるマリー・タリオーニ振付け、上演したことに関する様々のエピソードが残されている。マリーの『回想』などからしばしば、その驚異的な練習ぶりなどが引用して語られている。
 特に、ポワントを使ったテクニックは、この頃盛んになり、この『ラ・シルフィード』で使われて注目を集めた。また、裾の長いロマンティク・チュチュもこのバレエの衣裳を担当したE.ラミの創案だった。舞台の照明がロウソクからガス灯に代わった効果も、幻想的な舞台を創る上で大きかったと思われる。
 ピエール・ラコットは、舞踊史にも造詣が深く、様々の資料にあたり、タリオーニの振付を復元している。幕開きの、椅子で眠るジェームズの傍らにシルフィードが寄り添うシーンも、有名な版画をそのまま舞台に上げたように演出されている。
 ラコットは、パリ・オペラ座の最高位エトワールとして活躍していた、ギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールという花の盛りのダンサーを起用して、このロマンティック・バレエの傑作の復元に成功しているのである。
 


パリ・オペラ座バレエ
『ラ・シルフィード』全2幕
(ピエール・ラコット版初演映像)
4,935円 (本体価格4,700円)