荒部 好

『真夏の夜の夢』パシフィック・ノースウエスト・バレエ

 バランシンは、1962年に『真夏の夜の夢』をニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)に振付けた。音楽は、メンデルスゾーンの劇伴用の音楽に数曲付け加え使用し、メリッサ・ヘイドン、エドワード・ヴィレラ、アーサー・ミッチェルなどが出演した。1985年には、パシフィック・ノースウエスト・バレエのレパートリーとなっている。

 今年9月にNYCBが来日するが、前々回久しぶりに来日した時(1988)には『真夏の夜の夢』が上演された。オーベロンを踊ったのは当時NYCBのプリンシパル・ダンサーだった堀内元である。タイターニアはマリア・カレガリだった。その後は、このバランシンの数少ないストーリー・バレエに日本で接する機会はなかったと思われる。

 妖精の世界の王オーベロンと女王タイターニアのインドの少年をめぐる争い、妖精パックによってこんがらがったハーミア、ライサンダー、ヘレナ、ディミトリアスの2組のカップルの恋の赤い糸、ロバの頭をかぶったボトムとタイターニアのオーベロンに仕組まれた道ならぬ恋の魔法などの混乱は、すべて第1幕で解決している。第2幕は、ひたすら結婚式の美しいディベルテスマンが華やかに繰り広げられる、という構成である。映像ではあるが、バランシンならではのスピーディな展開による素晴らしいフォーメーションが、存分に堪能できる。

 パシフィック・ノースウエスト・バレエは、1972年に創設され77年にケント・ストウエルとフランシア・ラッセルが芸術監督に就任し、今日にいたる。プティパやブルノンヴィル、テューダー、テトリー、ロビンズなどからドュアト、フォーサイスの作品まで、レパートリーに採り入れられている。タイターニアにはパトリシア・バーカー、オーベロンにはポール・ギブソン、パックにセス・べリストンが扮し、蝶の役を中村かおりが踊っている。
『真夏の夜の夢』は、そのほかに『ザ・ドリーム』と題しアテネ大公のシーシアスとヒポリタの部分をカットした、詩的雰囲気あふれるフレデリック・シュトン版(1964)、メンデルスゾーンに加えてリゲティと手回しオルガンの音楽を使った、楽しいジョン・ノイマイヤー版(1977)などの振付がよく知られている。。





バランシン振付
『真夏の夜の夢』
パシフィック・ノースウエスト・バレエ
94分/1999年2月収録
5,250円 (本体価格5,000円)