荒部 好

『スパルタクス』ボリショイバレエ

 『スパルタクス』は、1956年、台本ニコライ・ヴォルコフ、音楽アラム・ハチャトゥリアン、振付レオニード・ヤコブソンによりレニングラード(サンクトペテルブルク)のキーロフ(マリインスキー)劇場で初演された。その翌年には、イーゴリ・モイセーエフが振付、モスクワのボリショイ劇場で上演されたが、これはレパートリーとして残ることはなかった。

 1968年、ユーリ・グリゴローヴィチがハチャトゥリアンの協力を得て、新たに『スパルタクス』を振付けた。このDVDにはグリゴローヴィチのヴァージョンが収められている。

 グリゴローヴィチは、奴隷の解放のために戦う剣闘士スパルタクスと、それを権力によって支配しようとするクラッスス、愛情に満ちたフリーギアの夫スパルタクスへの愛と、権力へ野心に燃えるエギナの不純な恋、というように対立の軸をはっきり打ち出し、対比の構図を鮮明にした。そしてドラマの節目に、幕前で4人の主人公にモノローグを踊らせて、悲劇の情感を高めている。

 全体に装飾的なマイムやディべルティスマンを使わずにスピーディに展開している。スパルタクスに扮したムハメドフの力強い踊りが圧巻。旧ソ連時代のバレエを代表する舞台である。



振付・演出/ユーリ・グリゴローヴィチ
音楽/アラム・ハチャトゥリアン
デザイン/シモン・ヴィルスラーゼ

スパルタクス/イレク・ムハメドフ
クラッスス/ミハイル・ガボヴィチ
フリーギア/ナタリア・ベスメルトノワ

ボリショイ・バレエ
『スパルタクス』
ワーナーミュージックジャパン
¥4,900 (本体価格¥4,667)