荒部 好

『シルヴィア』英国ロイヤル・バレエ

『シルヴィア』は、1876年にパリ・オペラ座バレエでルイ・メラント振付、レオ・ドリーブ音楽により初演された。今日まで踊り続けられてきて、19世紀に流行したロマンティック・バレエの後期の作品である。ギリシャ神話に題材をとっているが、やはり同じ頃(1870年)に初演されたドリーブ音楽の『コッペリア』同様、軽快なタッチでコミカルな味わいも感じられる。

 英国ロイヤル・バレエでは、フレデリック・アシュトンが『シンデレラ』に続く2作目の全幕バレエとして、1952年に振付け、マーゴ・フォンテーンが初演を踊っている。
 2004年、アシュトンの生誕百年シリーズに際して、ダーシー・バッセル、ジョナサン・コープの主演により40年ぶりに復活上演された。この時は、バッセルにとっても1年半ぶりの舞台復帰であった。ロイヤル・バレエにとっては英国人のプリンシパルがファーストキャストを組んだ、慶賀すべきペアだったが、05年に収録されたこのDVDでは、コープが引退したため、ロベルト・ボッレがアミンタを踊っている。

 ストーリーは2004年12月の「英国ダンスのロイヤルシート」に書かれているので、興味のある方はご参照ください。
 月の女神ダイアナのニンフ、シルヴィアと人間の羊飼いの恋という物語だが、大上段に振りかぶることなく、音楽とダンスを楽しんでいるうちに、愛の讃歌が観客の胸に浸透していく、巧みにソフィストケイトされた品のいいバレエである。
 バッセルとボッレのスケールの大きなおおらかな踊りが、美しい背景に映え、見応えがある。
 アシュトンは初演の後、振付を改訂したがっていた、というが久しぶりの再演にあたって、手を尽くしたからだろうか、たいへん興味深く感じられた。

 



 

振付/フレデリック・アシュトン
音楽/レオ・ドリーブ

シルヴィア:ダーシー・バッセル
アミンタ:ロベルト・ボッレ
オリオン:ティアゴ・ソアレス
エロス:マーティン・ハーヴェイ
ディアナ:マラ・ガレアッツィ / 他、英国ロイヤル・バレエ団

英国ロイヤル・バレエ団
「シルヴィア」全3幕
5,040円 (本体価格4,800円)
発売/クリエイティヴ・コア