荒部 好

バレエ名作物語Vol.1『白鳥の湖』Vol.2『ライモンダ』

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新国立劇場バレエ団の古典全幕バレエがDVD BOOKになって刊行された。
Vol.1は『白鳥の湖』は、牧阿佐美芸術監督がコンスタンチン・セルゲーエフ版に基づいて改訂振付・演出を行った初演の舞台を収録している。
オデット/オディールに酒井はな、ジークフリートに山本隆之、ロートバルトは貝川鐵夫、道化がグリゴリー・パンノフというキャスト。舞台美術・衣裳はピーター・カザレットである。
このヴァージョンの特徴は、オデット姫がロートバルトに捕えられて白鳥に変えられるプロローグを加えたこと。第3幕のデヴェルティスマンに「ルースカヤ」を復活させたこと。また、物語の背景に特定の時代設定を設けず、幻想世界のリアリティを求める造型を重視したなどの点であろう。
酒井はなと山本隆之のコンビネーションもよく整えられ、コール・ドとの呼吸も合っていて、もう2年半以上も前に観た舞台の印象がまざまざと甦ってきた。

また、全幕収録の他に新国立劇場バレエ団のソリストのインタビューが、舞台映像の一部とともに収められている。ここでは、川村真樹、小嶋直也、寺島ひろみ、本島美和、酒井はな、山本隆之などの興味深いインタビューが収録されている。なかなか豪華な特典映像である。
また、Bookとしてもプロダクションノートや物語、牧阿佐美監督インタビューなども収められていてなかなか興味深い。

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Vol.2は『ライモンダ』。こちらはライモンダにスヴェトラーナ・ザハロワ、ジャン・ド・ブリエンヌにデニス・マトヴィエンコ、アブデラクマンに森田健太郎というキャスト。舞台美術・衣裳はルイザ・スピナテッリである。
『ライモンダ』の素晴らしさは、なんといっても第3幕のシンフォニックなダンスのアンサンブルだろう。プティパの晩年の作品だが、物語は意外なほど単純。むしろシフォニックなダンスシーンを際立たせるために、観客に物語の理解のためのエネルギーを使わせないように単純にしたとさえ思えてくる。
とりわけ、ザハロワの踊りは、愛の勝利を完璧なステップで描き、コール・ドのアンサンブルも素晴らしい。

特典映像は、研修所出身のソリストで新国立劇場を知り抜いている小野絢子が案内する、『ライモンダ』バックステージツアー。これはなかなかおもしろい。華やかな舞台が進行している裏では、どんなことが行われているのか、やはり興味深いものがある。そして美しいプリマ、ザハロワのインタビュー。バレエだけではない政治にも関わっているだけあって、淀みない弁舌はお見事、意味を理解できないロシア語を聴いていても厭きないし、お声も素敵でした。
映像は新国立劇場の豊富なライブラリーを使い、Bookの資料も整えられていて瀬戸秀美の写真も美しい。新国立劇場バレエ団をより良く理解するために、丁寧に編集されたシリーズである。続刊も期待したい。

バレエ名作物語 Vol.1『白鳥の湖』 Vol.2『ライモンダ』
新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS
価格はそれぞれ本体3,600円+税
世界文化社刊