(荒部 好)

バレエ名作物語 vol.5『アラジン』
新国立劇場バレエ団 オフィシャルDVD BOOKS

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新国立劇場バレエ団のオフィシャルDVD BOOKSの新刊『アラジン』が刊行された。バレエ名作物語として過去に出された作品は、すべて古典名作だったが、今回は2008年に新国立劇場オペラパレスで世界初演されたディヴィッド・ビントレー振付の『アラジン』だ。
DVDの中でビントレー芸術監督も語っているが、新国立劇場バレエ団にとっては慣れない全幕バレエ新作の制作だった。おそらく2005年の石井潤振付『カルメン』2007年のベルリオーズの音楽による牧阿佐美振付『椿姫』以来だと思われる。
以前に『カルミナ・ブラーナ』を体験していたとはいえ、ビントレー監督の新作は音楽はカール・デイヴィスが2000年に作曲したものということで、初演の際にはダンサーたちにいくらか戸惑いのようなものが感じられた。
それが2011年に再演された『アラジン』は、オリジナル・キャストのダンサーが主体だったこともあり、格段の出来映えを見せた。このDVD BOOKSにも2011年5月再演時の影像が収録されている。
主演は小野絢子のプリンセスと八幡顕光のアラジン、魔術師マグリブ人はマイレン・トレウバエフ、ランプの精ジーンは吉本泰久だった。初演時から評価の高い第1幕3場の財宝の洞窟で繰り広げられる「宝石のディヴェルティスマン」、プリンセスとアラジンの浴室の喜びのパ・ド・ドゥ、ランプの精ジーンのもてなしの踊りなどが素晴らしい。
また、3つの特典映像はそれぞれおもしろいが、ビントレーとカール・ディヴィスの対談がなかなか興味深かった。スコティッシュ・バレエのために作曲したが、全曲を使った振付がなされなかったカール・ディヴィスと、初めて振付けたビントレーがそれぞれの着想の原点を語り合い、それが意外に一致している点が多いこと、物語の舞台である中国の取り扱い方、中国の音楽とアラビアの音楽についてなど、創作スタッフならではの声を聞くことができる。
そうしたこの作品の物語の素材と話題の豊富な背景を知ると、また、異なったバレエの楽しみ方ができるかも知れない。

バレエ名作物語Vol.5『アラジン』
新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS

価格:本体3,800円+税
ISBN:978-4-418-11007-0
A5判 48ページ
特典映像:『アラジン』リハーサル/小野絢子&八幡顕光
対談/デヴィッド・ビントレー&カール・ディヴィス
『パゴダの王子』ある日の稽古