(荒部 好)

『パロマ・ヘレーラ』今 ダンサーとして

1107dvd.jpg

パロマ・ヘレーラはアルゼンチンのブエノスアイレスに生まれ、コロン劇場のバレエ学校を卒業してヴァルナ国際バレエコンクールに参加。スクール・オブ・アメリカン・バレエから91年にABTに入団し、93年にはソリストに95年には19歳で早くもプリンシパル・ダンサーに昇格している。ミンスクのバレエ学校に学んだ経験も持っているが、じつにスムーズにというかトントン拍子に一流のバレリーナとして開花した。
このドキュメンタリーを観ていると、ヘレーラの明るくおおらかで素直な性格がよく分かる。過密なリハーサルのスケジュールをこなしながらも笑顔が絶えない。リハーサル中もひとつのパを踊り終えるとそのまま物陰に消えて、さっと姿を現して教師に「どうだった?」と明るい笑顔を向ける。時間が空くとリハーサルルームの大きな柱に抱きついてみたり、まるで幼児のようなあどけない魅力を発散している。この太陽のようなおおらかさが彼女を迷うことなくバレリーナの道に導き、その素晴らしい才能を花開かせることに成功したに違いない。
かつて旧ソ連時代のキーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)のトップバレリーナとして君臨し、その舞台は真珠に例えられて賞賛されたイリーナ・コルパコワがヘレーラの教師として教えている映像も収められている。教える者と学ぶ者の関係もじつにこころ温まる雰囲気で、英語で指示するコルパコワからヘレーラは細やかな表現の襞を素直に、巧みに修得している様子が伝わってくる。
しばしば出演しているというコロン劇場では、エルネスト.チャコン・オリベというなかなか魅力的なダンサーと、『ブエノスアイレスの夏』をリハーサルしている情景も見ることができる。故郷に還ったヘレーラのリラックスした身体からは、ニュ−ヨークの彼女とはまた異なった魅力が感じられた。
まもなく開幕するABTの来日公演ではパロマ・へレーラの香しい踊りが披露されるが、今まさに充実した魅力を発揮しているバレリーナのドキュメンタリーとして、ぜひ観ておく価値がある。

『パロマ・ヘレーラ』今 ダンサーとして
発売元/日本コロムビア株式会社
価格/4,200円(税込み)
2008年制作 アルゼンチン、約75分、日本語字幕付
2011年7月20日発売
出演/パロマ・ヘレーラ、イリーナ・コルパコワ、オルガ・フェリ、ケヴィン・マッケンジーほか
リハーサル映像/「白鳥の湖「ミューズを導くアポロ」「海賊」
舞台映像/「ライモンダ」「パキータ」「ブエノスアイレスの夏」