(荒部 好)

『オンディーヌ』英国ロイヤル・バレエ団

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『オンディーヌ』全3幕は1958年にフレデリック・アシュトンがハンス・ヴェルナー・ヘンツェの曲を使って振付け、コヴェント・ガーデンで英国ロイヤル・バレエ団により初演された。タイトルロールはマーゴ・フォンテーンが踊った。また19世紀にはジュール・ペロー振付、チェーザレ・プーニ曲、ファニー・チェリート主演で上演されている。
ここに収録されている舞台は、2009年6月にオンディーヌの吉田都とパレモンに扮したエドワード・ワトソンにより、コヴェント・ガーデンで上演され、ロンドンのトラファルガー広場やリバプールなど20都市の大スクリーンで生中継された。
原作はドイツのフリードリッヒ・フーケのロマン主義小説で、純粋無垢の水の精霊オンディーヌと貴公子パレモンの悲恋を描いたもの。パレモンは、フィアンセのベルタと別れてまで水の精霊オンディーヌと結ばれたが、嵐に遭遇してオンディーヌと別れ、ベルタと結婚する。しかし、愛の誓いを破ったパレモンは再会したオンディーヌに激しくキスを求めて掟に触れ、命を落とす。そして二人は永遠に海の底で生きることになる、と言う物語。

第1幕でオンディーヌが自身の影と戯れる有名なソロや、パレモンとの愛のパ・ド・ドゥ、第2幕の船の上のスペクタクルなダンスシーン、第3幕の海の底から浮かび上がって濡れそぼったオンディーヌと愛おしさのあまり死に至るキスを求めるパレモンのドラマティックなパ・ド・ドゥなど、見所はなかなか多い。水にかかわるシチュエーションを背景とした独特の振りを、吉田都がじつに巧みに踊っているのには感心させられた。
端正な踊りの中に感情を表そうとするワトソンと、しっとりとした柔らかな動きに情感を込めて踊る吉田都がコントラストを描きつつ物語を展開していくところは見応え充分。リラ・デ・ノービリの衣裳も効果的だった。
今日では失われてしまったそうだが、チャイコフスキーも『オンディーヌ』を作曲していたと聞く。いったいどのようなメロディだったのだろうか、想像するだけでもわくわくするような気分となる。

『オンディーヌ』(全3幕)英国ロイヤル・バレエ団
振付/フレデリック・アシュトン
出演/オンディーヌ=吉田都、パレモン=エドワード・ワトソン、ベルタ=ジェネシア・ロサート、ティレニオ=リッカルド・セルヴェラ、森の修道士=ギャリー・エイヴィス他
音楽/ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ、演奏/バリー・ワーズワース指揮、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、衣裳/リラ・デ・ノービリ、照明/ジョン・B・リード、収録/2009年6月 コヴェント・ガーデン王立歌劇場
特典映像「ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ『オンディーヌ』制作過程を語る」

発売元:日本コロムビア株式会社
価格:5,040円(税込み)