(荒部 好)

『火の鳥/結婚』英国ロイヤル・バレエ団

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『火の鳥』は1910年、パリ・オペラ座でタマラ・カルサヴィナ、ミハイル・フォーキン、ヴェラ・フォーキナの主演で初演された。
ディアギレフ率いるバレエ・リュスの初期作品には、ロシアを題材として成功したものが多い。パリに最初に登場したニコライ・レーリヒ美術、フォーキン振付によるボロディン音楽の『ポロヴィッツアン・ダンス』、アレクサンドル・ブノワ美術、フォーキン振付、イーゴリ・ストラヴィンスキー音楽『ペトルーシュカ』、レーリヒ美術、ヴァツラフ・ニジンスキー振付、ストラヴィンスキー音楽『春の祭典』など。
『火の鳥』もまた、ロシア民話にしばしば登場する火の鳥の神秘的なイメージに基づいて創られた。台本はフォーキンがクレジットされているが、ディアギレフとともにこのグループの中心人物だったアレキサンドル・ブノワが中心となって発想されたバレエとも言われている。
音楽は、当初依頼していた作曲家がまったく進行しておらず、急遽、『花火』を作曲してディアギレフの目に留まっていたストラヴィンスキーが担当することになり、振付のフォーキンとともに作曲を仕上げた。
美術はアレクサンドル・ゴロヴィンだが、1921年のロンドン再演の際にナタリア・ゴンチャロワが新たに制作している。

ロイヤル・バレエ版『火の鳥』は、ゴンチャロワの美術を使い、セルゲイ・グリゴリエフとルボフ・チェルニチェヴァが演出に名前を連ねている。
火の鳥はリャーン・ベンジャミンでミステリアスというよりも愛らしさが感じられる踊り。イワン王子にはジョナサン・コープ。なかなか表情豊かな演技を見せている。カスチェイはデヴィッド・ドリュー。ちなみに特典映像に収められているドリューの「ニジンスカ『結婚』振付体験記」が、しばしば思わず吹き出すほどおもしろい。
ブロニスラヴァ・ニジンスカ振付の『結婚』もまた、ロシアの農民の結婚式を題材としたバレエだが、この作品が初演されたのは1923年パリ、ゲテ・リリック劇場。やはり、ストラヴィンスキー音楽、ゴンチャロワ美術の作品である。当時は、以前に『春の祭典』があったとはいえ、リズム、動き、フォーメションなどあらゆる意味でじつに斬新なバレエだったにちがいない。
先にも書いたが、二台のピアノを使ったニジンスカの凄絶なリハーサルの様子は、ドリューのインタビューがどんな解説よりもヴィヴィッドに物語っている。

英国ロイヤル・バレエ団「火の鳥・結婚」
収録:2001年ロンドン、コヴェント・ガーデン王立歌劇場
【出演】
リャーン・ベンジャミン
ジョナサン・コープ
ゼナイダ・ヤノウスキー

コロンビアミュージックエンターテインメント
価格5,040円(税抜 4,800円)