荒部 好

『ルソン・ドゥ・ダンス』

クロード・ベッシー 著

 クロード・ベッシーは、1972年から30年以上に渡って、パリ・オペラ座バレエ学校の校長を務め、シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ、ローラン・イレール、パトリック・デュポン、マリ=アニエス・ジロ、ニコラ・ル・リッシュ、アニエス・ルテステュ、オーレリー・デュポン・・・などなどの錚々たるバレエダンサーを育て、パリ・オペラ座バレエ団の今日の隆盛をもたらした、20世紀を代表するバレエ指導者である。
 ベッシーは、パリ・オペラ座バレエ団のエトワールとしても、リファール作品のオリジナル・キャストなどを踊って大いに活躍していたが、交通事故による怪我のために指導者を志し、歴史に名を残す素晴らしい成果をあげた。

『ルソン・ドゥ・ダンス』は、クロード・ベッシーの文章と、20年以上もパリ・オペラ座の舞台やバックステージの写真を撮り続けてきたジャック・モアッティの素晴らしい写真で構成されている。
 ベッシーは、バレエという芸術を習得するために必要なこと----目覚めから競争、持久力、孤独、バレエ団の生活、コンクール、観客との関係、私生活、舞台前の精神統一、髪、メイク、衣裳の知識、振付、身体の能力、抽象概念、インスピレーション、そして母となることやバレエを止めたあとの人生に至るまで、一流のバレエダンサーとして舞台で踊り続けていくためのあらゆる問題を、ベッシー自身の貴重な体験を交えて平易に、まるでバレエ学校の生徒たちに話して聞かせるように語っている。
 モアッティのヴィヴィッドな写真がギエムやルグリ、ル・リッシュ、デュポン他、数多くのスター・ダンサーたちの姿の中に、ベッシーが語る言葉のイメージを浮かび上がらせる。そしてそれはそのまま、パリ・オペラ座のバレエの精髄でもある。
 これは、まさにクラシック・バレエの美の創り方を具体的に教えてくれる、例えようもない貴重な一冊と言えるだろう。

 日本語版を刊行したのは、イヴェット・ショヴィレが名誉校長を務め、パリ・オペラ座スタイルのバレエ教育を行っている、京都バレエ専門学校。校長の有馬えり子が監修にあたっている。
 今後おそらく、日本のバレエ教育にとって大きな意味をもつことになる一冊と言っても決して過言ではない。



   

『ルソン・ドゥ・ダンス』
クロード・ベッシー 著
ジャック・モアッティ 写真
有馬えり子 監修
郡洋子 岡村陽子 訳
京都バレエ専門学校 刊
6,615円 (本体価格6,300)

 

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