荒部 好

『まいあ』

有吉京子/著
 バレエ漫画の最高傑作として、今ではもう伝説的な作品となった『SWAN--白鳥--』の次世代編が刊行された。<有吉先生と一緒にバレエを楽しもう!>と呼び掛ける雑誌「SWAN MAGAZINE」に連載されて人気を集めていた『まいあ』が、単行本となって発売されたのである。
 著者は、1978年にパリ・オペラ座でヌレエフのジークフリートを観て、『まいあ』の構想を得た。そして、熱心に寄せられる「『SWAN--白鳥--』の続編を!」という声に動かされて執筆にとりかかったそうだ。
 一読するとその間に、どれほど緻密に念入りに取材や調査が行われたのか、すぐに理解できる。
 ブリュッセルからやってきた、<まいあ>がオペラ座バレエ学校の編入試験を受ける冒頭から、彼女が初めての環境にドキドキし、オペラ座のエトワールの姿を垣間みてワクワクするバレエ学校の生活のすべてが、現実的なリアリティをもって活き活きと描かれている。一緒にバレエを学ぶ友だち、先輩、先生、時折、現れる振付家などのセリフのひとつひとつに、じつに実感がこめられているからである。
 今はまだ、<まいあ>は一心にバレエの稽古に打ち込み、バレエ学校の生徒としてオペラ座の舞台に1日だけ立つことが決まっただけ。けれども、その背景には様々なドラマティックな出来事が起りそうな、人物たちが透けて見えている。
 この一冊を読むだけで世界のクラシック・バレエ界が、どんなふうに動いているのか、どんな才能を求めているのか、といったことが具体的に理解できる漫画、といっても過言ではないと思う。



「まいあ」
Maia SWAN ACT2
著/有吉京子
平凡社
¥630 (本体価格¥600)