荒部 好

『バレリーナ世界を駆ける』

涌井三枝子、大音美弥子
 今回ご紹介する『バレリーナ世界を駆ける』は、「私の生活の90%はバレエで占められている。朝からレッスンのある日はもちろん、道を歩いているときも食事中も、どんな些細なこともすぐにバレエと結びつく」という書き出しで始まっている。

「私の旅行好きは上に狂の字がつくほどで、思い立ったらその日の内に行けるよう、常時パスポートがバッグに入っている」とも書いている。著者は大阪のワクイバレエスクールの創設者、涌井三枝子である。熊川哲也が率いるK バレエカンパニーのファーストソリスト、長田佳世の先生、といえばさらに親しみがわくかもしれない。
 そして涌井三枝子は、かのエリアナ・パヴロワの直弟子で大阪に研究所を開いていた、与世山彦志にクラシック・バレエを学んでいる。
 では早速ページを開いてみよう。

 第1部 カーネギー公演 突撃ボリショイ!
 第2部 戦禍の街 大きな庭 小さな家のころ
 第3部 ワクイのバレエレッスンから

 という構成になっている。
 冒頭は、スペインで活動している教え子を予告なしに訪れる場面だし、ドイツ、上海、モスクワ、ニューヨーク、インドと巡って再びスペインへ。さらにモナコ、イタリアと、第1部だけでもまるでネットサーフィンでもしているように、まさに世界を駆け巡っている。その間にルジマトフやマラーホフ、森下洋子などのスターダンサー、あるいは教え子たちと会って語り合う。まったくバレエに関する話題には事欠かないし、バレエを習っている人たちには、思わず納得する考え方があちらこちらにちりばめられているはず。



『バレリーナ世界を駆ける』
日本機関紙出版センター
¥1,470 (本体価格¥1,400)