荒部 好

『バレエ・ギャラリー30』

監修/佐々木涼子
 クラシック・バレエの幕物を30作選んで、イラストをふんだんに使って解説した本である。
 たとえば『白鳥の湖』であれば、まずその一般的ストーリーの説明。主要登場人物の役柄をイラストで描いて、相関関係を図解したもの。幕ごとの注目シーンをチャートし、物語のテーマというかポイントと演出の見どころをコラム紹介する。
 さらには、バレエの歴史、バレエと演出、バレエと音楽、ダンサー紹介、カンパニー紹介、小品の解説、マイムと用語の説明などなど。至れり尽くせりの編成となっている。判型も大判で見易く、読み易い。

 かつては、バレエの本などは置くべき棚がほとんどの書店にはなく、大手か余裕のある出版社でなければ、出版企画にあげることすら躊躇われたものであった。しかし、近年では、キーワードで読み解くとか工夫を凝らした鑑賞の手引書も時折出版されるようになった。
 それだけ需要があるとは昔日の感がなくもないが、こうしたパフォーミングアーツの啓蒙書は、実際、どの程度活用されているのだろうか。
 一般の観客はバレエの舞台を観て感動し、ときめきを言葉によって捉え直そうとするのだろうか。舞台で得た熱い心をそのまま胸にたたんでおきたい、と思う人も少なからずいるのではないか、最近はそんな気もしてきた。
 ともあれ、優れたパフォーミングアーツが創られるための環境が優先して整えられなければならいのは、言うまでもない。


『バレエ・ギャラリー30』
佐々木涼子監修
学習研究社 
2,625円 (本体価格2,500円)