荒部 好

『DDD』

dancedancedance 創刊9月号
 久しぶりにダンスの雑誌が創刊された。「ダンスのある生活」と表紙に銘打っている。主としてコンテンポラリー・ダンスのダンサーをフューチャーして、そのファッションや生活のスタイルを写真やインタビューで見せていこう、という雑誌である。つまり、ダンサーはファッション・リーダーであり、今日を代表するかっこいい生き方のひとつである。そういう考え方や感じ方がなされているのであろう。余談ながら、「ダンスマガジン」が創刊された当時は、<バレエ、ダンスの出版物を刊行した出版社は倒産する>、と業界では囁かれていた。既刊のバレエ、ダンスの本は、書店の中でも最も売れない、ほとんど人が立ち寄ることのない、と思われる場所に埃を被って放置されているのが普通だった。したがって『DDD』が書店の花形ともいうべきファッション雑誌売り場にドッと平積みされていると、隔世の観無きにしもあらずである。

『DDD』が創刊号で取り上げている主なダンサー、振付家は、マシュー・ボーン、ウィル・ケンプ、首藤康之、勅使川原三郎、金森穣、熊谷和徳、伊藤千枝、服部有吉、フォーサイス、森山開次、笠井叡、上島雪夫、コンドルズ、東山義久、杏奈、山田海蜂、パパイヤ鈴木といった面々である。バレエや舞踏系の舞踊家にはあまり触れられていない。そのかわりブレイクダンスからピラーティス、ダンス向上委員会、黒鳥の湖まで話題となりそうなものはすべて取り込んでいる。外国人のダンサーが意外に少ないが、「DDD」的な観点から言えば妥当な人選とも言える。しかし、大学のサークルのノリでプロフェッショナルな市場原理が支配する雑誌を創ってしまった、ようなところもある。ダンス好きの大学生たちが選んだダンサーをプロのカメラマンが撮影した、そんな印象である。

 写真は、ダンサーの新しい面を見せてくれていてなかなか素晴らしい。今まで刊行されたダンス関係の雑誌は、すべて専門誌だった。こうしたファッションや生活スタイルといった観点からダンスを取り上げた雑誌は、かつてなかったから、ぜひ頑張ってほしいと願っている。


『DDD』dancedancedance
フラックス・パブリッシング
1,000円