(荒部 好)

『小松亮太とタンゴへ行こう』

小松亮太 著
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タンゴを若い世代にブレークさせた小松亮太。日本のタンゴ界の旗手ともいうべき小松亮太の丸ごとタンゴの本が刊行された。
タンゴはアルゼンチンのダンス・ミュージックにすぎなかったが、ピアソラが改革して飛躍的に音楽性と高めた、といった私のような漫然としかタンゴのことを知らない人間にとっては、じつに有益だった。

漠然とタンゴと言っても、じつに様々。小松は「クラシック、ジャズ、ポップス、そのほか無数のワールドミュージック、どのジャンルからみても離れ小島のような特殊で、そのくせどのジャンルともちょっとずつ親戚であるところ。だれとも違う、でもだれをも納得させる力を持つ音楽」それがタンゴだと言う。
若い頃からピアソラとともに活躍した世代のアーティストと共演し、タンゴをまるで新しい音楽のように普及させた小松。ブエノスアイレスや南米各地でライブを行い、アルゼンチンの演奏家組合から表彰された小松が、読者と一緒にタンゴの世界を体験談をまじえながら紹介し、「ラ・クンパルシータ」の弾き方まで教えくれるという内容の一冊だ。

まずは、バンドネオンという見たことはあるけれど、どんなものかはまったく知らないこの楽器のことが、歴史からさまざま語られていておもしろい。そしてタンゴ特有のアレンジのことを、他の音楽ジャンルと比較しながら解説しているので分かり易い。そして、アストール・ピアソラの名前は知っていても、ファン・ダリエンソ、アニバル・トロイロ、レオポルド・フェディリコ・・・聞いたことはあるけど何も知らなかった名前がつぎつぎと解明される。
そしてそれぞれの章には「ブエノスアイレスに行ったらここを見よ!」といったコラムやイラスト解説が付けられていて、あれこれ読む楽しみがある。
これ一冊を読むだけで、私のようなタンゴ音痴(タンゴだけじゃないけど)には、飛躍的に理解が進んだ。
タンゴはさまざまなダンスに使われているので、ダンサーにとっても役に立つ本だと思う。

旬報社 刊 http://www.junposha.com/
定価(本体1600円+税)