(荒部 好)

『スワン----アンナ・パブロワのゆめ』

文/ローレル・スナイダー、絵/ジュエリー・モースタッド
訳/石津ちひろ

20世紀初頭から活躍したロシアの伝説的なバレリーナ、アンナ・パブロワを主人公にした絵本が出版された。"Swan  the Life and Dance of Anna Pavlova" という原題でアメリカで出版された本の翻訳で、絵は原本に描かれたものを使っている。

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大判の50ページほどの本で、繊細な夢見るようなタッチで描かれたカラーの絵でほとんどのページが埋め尽くされている。
文章は簡単なパヴロワの人生の紹介と、彼女がどのように感じてバレリーナとして生きたか、を優しく簡潔な言葉で綴っている。

実際、パヴロワはロシアやヨーロッパの王侯貴族にしか親しむことができなかったバレエを、世界のあらゆる国々で踊って普通の人々に、一生懸命その美しさを伝えた。ロシア宮廷の華麗な劇場を本拠地として踊っていた彼女には、とうてい考えられないような劣悪な環境でも踊れるスペースがあれば、踊ることを厭わなかったという。そして訪れた国では必ず、その国の民族舞踊を習って踊ることを喜びとしていた。
1922年には、その頃はバレエを知る人はほとんど数えるほどしかいなかった日本を訪れ、東京から九州まで10都市公演した。そして当時の尾上菊五郎の自宅を訪問するなど、日本舞踊家とも交流したことは良く知られている。
『スワン----アンナ・パブロワのゆめ』は、そうした不世出のバレリーナ、アンナ・パブロワの優しいイメージを、じつに良く表現している1冊である。
(荒部 好)

『スワン----アンナ・パブロワのゆめ』
文/ローレル・スナイダー
絵/ジュエリー・モースタッド
訳/石津ちひろ

BL出版刊
定価(本体1600)+税