(荒部 好)

『バレエコンクール 審査員は何を視るか?』

安達哲治 著

バレエダンサーにとって、一番ポジションの習得から、ソリストとしてクラシック・バレエ作品を深く理解して舞台上で踊るまで、道のりは長く厳しい。中でもバレエコンクールに参加して、自身の客観的な実力を正しく知ることは成長の過程で重要なことだ。それは分かっていても、いざコンクールに参加してみて、それが理解できただろうか。練習し体調を整えてコンクールに参加して、その経験を充分に活かすことができるだろうか。

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スタジオの練習一筋に努力していても、自分がバレエという宇宙のどこでどのように輝いている星なのか、知ることは容易ではない。
バレエコンクールに参加してみようと決心したその時、あるいはゆくゆくはバレエコンクールに参加して力を発揮してみたい、と思う時にこの一冊を友として手元に置きたい。するときっとバレエ修行のその時点でしなければならないこと、それが見えてくるだろう。
筆者の安達哲治は、有馬龍子バレエ団や牧阿佐美バレヱ団で踊り、パリ・オペラ座の伝説的な存在である、イヴェット・ショヴィレに薫陶を受けた。さらにNBAバレエ団の芸術監督として、全国的なバレエコンクールの運営に携わった。こうした経歴の中で海外の舞踊家とも交友が多い。ジャクソン国際コンクールほか多くのコンクールの審査員も務めている。

本書は4章に分かれているが、まず、1、2章では、それぞれのコンクールの特徴、コンセプトの把握から始まって、スタジオや劇場で踊っていても気付かないが、審査員の目を通してみた時にチェックされるポイントを指摘。さらにQ&Aによる具体田的な回答があり、コンクールにはいくらくらいかかるか、その時の服装などなど現実に即して示されている。
そして3、4章では、バレエ上達のための紙上レッスンを展開。骨、靭帯、腱、筋肉に基づいて、バレエダンサーの立ち方、歩き方、ターンアウトについてから、身体の部位の役割や鍛え方を解説し、美意識の整え方に至るまで、じつに懇切丁寧に書かれている。
バレエダンサーとして、技術的な向上を目指すと同時、広い視野を持ったアーティストとして深化していくために拠り所としたい一冊だ。

『バレエコンクール 審査員は何を視るか?』
安達哲治/著
健康ジャーナル社刊
本体1,300円+税