(浦野 芳子)

『ダンスのための準備運動』

夏まゆみ 著/発売

副題に“ゲカをしない身体づくり/ケガをさせない指導法”とあるように、ダンスを指導する教師を主な対象にまとめられた一冊である。

1303book.jpg

昨年から、中学校の体育の必修科目にダンスが加わったのは周知の事実だが、一方で教師の間に広まる戸惑いや不安はそう簡単に解決できるものではないだろう。なぜなら、どう考えたって体育とダンスは違う。身体を動かすことは同じでも、その質と内容は全く別のものだ。
内容はリズムトレーニングから全身運動、アイソレーション、筋トレ、ストレッチ、クールダウンに分かれ、それぞれの身体の動き、意識するポイントが写真入りで細かく説明されている。と書くと、他にもありそうな内容なのだが、ちょっと違う。
ああ、私がバリバリ、ダンスのレッスンをやっていた時代にこの本と出会いたかった! の、一言に尽きるのだ。その流れをざっと追うと、ジャズダンスなどの一般的なアップからクロスフロアの流れを事細かに解説しているのだが、その中に「身体のどの部分を意識し」「どこに重点を置き」「どう身体を感じるか」について丁寧にわかりやすく書かれている。若い頃はエネルギーに任せて暴走気味に踊り狂って(!?)ってしまいがちだけれど、それだけでは身体は伸びやかに動かないし当然上達もしない。“踊る”には身体を感じる力、意識の力がとても重要だから。ときに解剖学的アプローチも加え説明しているので、ダンスの準備運動としてのその動きの意味、目的が手に取るようにわかるのも嬉しい。単純に、身体の機能やしくみに興味を持つ意味でも、価値のある内容だと思う。またリズムトレーニングなどは、ダンスを好きになってもらえる入り口としてもオススメしたい。また終章には50分のメニュー構成なども提案されていて、こちらも頼もしい。

ダンス経験者としては、リズムトレーニングによるイントロダクションからアイソレーション、筋トレまでの流れがとても懐かしく、さっそく家でも体操代わりに…などとやる気だけはモリモリ。身体を知るためにも役に立つ、という意味ではまさに「体育」のための一冊だと思う。ただし、私がその内容・動きをスムースにイメージできるのはやはり経験者だからだと思う。もうちょっと奮発してもらって、DVDつきにしていただけたら完璧だったなぁ。あ、DVD別売でもよいかも知れませんね!
 

『ダンスのための準備運動』
夏まゆみ 著
発売(株)角川グループパブリッシング ¥1,900