(星野七々)

『バレエ食』 

成田和子・富村京子 著

踊り続けるための、強くて美しい身体をつくる正しく丁寧なアドバイスがこの一冊に。

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バレエには厳しい食事制限がつきまとうイメージがある。実際、バレエを職業にしている人たちはほっそりしているし、チュチュに白タイツという特殊な衣裳をまとうことからも、さぞかしストイックに体重のコントロールをしているのだろうと、誰もが想像したくなる。
そのバレリーナたちのための『バレエ食』である。
さぞかし厳しい食事制限の方法が書かれているのだろう、と思い手に取ってみると、バレエを始めたばかりの子供たちや、大人のバレエクラスのレッスン風景などが随所に挟み込まれた、優しいイメージの装丁。もちろん、具体的な料理写真やレシピなども紹介されているのだが、それらが “バレエをはじめたばかり” から “発表会の本番当日の朝ごはん” まで、ビギナーから本格派に至るさまざまな段階に合わせた、体作りのトータルアドバイスになっている。さらに、アドバイスは “食” のみならずストレッチの方法やレッスンの心構えなど、バレエクラスの内容にまで及ぶ。タイトルこそ『バレエ食』だが、内容は、バレエを楽しく美しく続けるためのいろは、である。
ビギナーに対しては、バレエを始めたらまずは知っておきたい “太りにくい食べ方のコツ” や “体を内側からきれいにするためのメニュー”、“美しい筋肉を維持する食事” など。
少し慣れてきた段階を想定した、“スタジオレッスン”の章では、エネルギーを燃焼しやすい体を目指すべく、脂肪の燃焼しやすい食習慣や、しなやかな筋肉維持の方法などについて言及。そして発表会を目指す段階には、疲れ知らずの体をつくる食事のとり方をアドバイス。まさに、バレエを踊る人のラ“バレエ・ライフステージ”に合わせたアドバイスが事細かに書かれているのだ。
さらには、間違ったダイエットがリバウンドを招く危険があることや、成長期の食事のとり方、筋肉痛を軽減させるアミノ酸のとり方、さまざまな食品とその栄養素、貧血や美肌への配慮、怪我や骨折に強い身体をつくる方法、などが栄養学的知識に裏付けされた内容で盛り込まれている。しっかり読んで頭に叩き込めば、一生モノの知識になると言っても過言ではない。
それもそのはず、著者は舞踊家で、香港バレエ団のプリンシパルを2010年まで務めた後、現在は東京都内でバレエ講師としても活躍中の富村京子。そして、料理研究家で栄養士の成田和子のコンビなのである。ダンサーとしての実体験、そして栄養学的なアプローチが出会い、この一冊になっている。
特に、正しい食生活の大切さや、和食の良さなどについてしっかり語られている点が頼もしい。痩せる、ダイエット、と言うととかく「ラクして簡単に」という面にばかり注目が行きがちで、単品ダイエットなどで栄養バランスが極端に偏ったり、サプリメントに頼って安心し、肝心な食生活がないがしろになったり、ということにもなりかねない。
とくに、まだ成長期の段階にある10代の少女たちが、間違ったダイエットをするのはとても心配だ。海外留学をして体調ばかりか精神のバランスまで崩してしまう少女たちの中には、食生活のコントロールが上手にできないことが原因の一つになっていることもあると聞く。その点、紹介されているレシピが、作りやすくシンプルで、見た目にもおしゃれ感漂う本書は、少女たちの留学の友にもお奨めしたい。
正しい食習慣は、一生ものの宝物。
クラシック・バレエの基本ポジション、基本動作と、まったく同じなのである。

『バレエ食~バレリーナなら必ず知っておきたい食事のこと』
成田和子 富村京子 著
1800円(税抜)
誠文堂新光社