【第47回】背骨を通す呼吸法 - エクササイズ-

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。

呼吸とは何ですか?となると、まず第一に「酸素の出し入れ」と考えるでしょう。
息を大きく吸えば、肺と肋骨をはじめ、体が膨らんでいく感覚。そして吐けば元に戻っていく。
体のどこかが上がったり下がったり。伸びたり縮んだり。出たり入ったりのような「往復する動き」を感じることができるのが「呼吸」となります。体に意識を向ける、動きを感じるということを、呼吸なくしては、なかなか難しいのではないかと思います。

呼吸によって体内で空気の流れを作るように。どこからどこへどのように?を感じて、背骨の動きに流れを作りましょう。

吸って吐いての伸び縮み1.jpg

座って呼吸

できれば背もたれのある椅子に背中を合わせて行います。
この呼吸法で重要なのは「足が地面を押している」「体が起きている」というところです。写真で踵(かかと)の踏み方、胸の起こし方を確認して下さい。

座って呼吸のかかとと胸.jpg

踵が上手に押せたら椅子の上で「骨盤がちゃんと立つ」ような感じで、逆に足の押しが弱いと「腹と骨盤が沈む」ようになります。
しっかりと張りを持って、立ち上がった骨盤を感じられたら、下腹部の奥「丹田」で仙骨と腰椎の接点を意識して「背骨への上向きの大きい穴」と想像してみましょう。

踵の押しと仙骨の状態.jpg

ゆっくり大きく息を吸い上げます。
仙骨の空気穴が膨張して、その穴から温かい空気を汲み上げるように。背骨に下から空気が満たされていくように
そしてなだらかに吐くときは、背骨から空気が仙骨へと返っていくように。

仙骨と背骨を通う呼吸.jpg

姿勢が変わっても同じ

仰向けになって、骨盤背面で床を感じているときも、同じ呼吸ができるようにしましょう。
写真のように、骨盤背面(仙骨)を床に押し当てて。足の押しを大切に。足の押しが弱いと、骨盤の張りと安定感が失われ、腰が反ってお腹が出てしまう感じになります。これが人が思う「弱い腹筋」の感じです。

同じ姿勢で、骨盤背面を1cmだけでも、床から浮かせた状態で深呼吸してみてください。脚と骨盤の力を繋ぐ、チャレンジだと思って試してみましょう。

仰向け呼吸の良し悪し.jpg

浮かせたバージョン.jpg

Check
>>> 【第47回】ミラクルストレッチは仙骨から〜前編〜

バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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