【第46回】「なにを?どこへ?どのように?」の意識
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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
体の中心部「腹筋」の動きを主に、「動かすとき」に意識してほしいことを、お話しましょう。
ものを動かすときの持ち位置
(イメージ)大きい花瓶を持って動かすことを考えてみましょう。
・頂上の縁の部分をつかむ=引っ張り上げる
・底から支えるように持つ=押し上げる
・横っ腹をガシッと挟むように持つ=押さえ込む
などが考えられますね。
そして花瓶を上げたり下げたり、前に出したり奥へ引いたり。回転させたり傾けたりなどの「様々な動作」も考えられます。
腹部を花瓶に置き換えて考えてみると?
頂上に肋骨。底は骨盤の両サイドで、長方形の4つ角を決めて。前方と後方に2点ずつ用意して、正式には六角形ですが、ほぼ「円柱のような腹部」をイメージしましょう。
お腹に力を入れる。というときは、腹部全体に何となくギュッと締める感じだったり。
顔が進行方向をしっかり向いていても、お腹がどこを向いているか?と意識することは、なかなか考えたことはないのでは?
お腹のみならず、体中には常に「重力が掛かっている」ので、「持ち上げる意識」を与えない部分は、長い年月をかけて沈んでいきます。顔が前を向いていても、程良くお腹を引き上げていない限り、お腹は少し「下を向いています」
先ほど紹介した、お腹の下側「骨盤の角」で天井を見上げてみましょう。お腹が前に行っても、引いても構いません。とにかく上に向けてみましょう。
なかなかお腹に力が入ってきませんか?
体のねじりや移動に適応する
息も詰まって「腹部をグッと固めよう」とする力は、腹部を正面「アンファセ向き」に直そうという行為になります。
腹部に上手なツイスト(ねじれ)を発生させて、優雅なエポールマンを滲み出すように使ってみましょう。
ピラティスの体幹部をねじる、ツイスト系のエクササイズでも、上体を漠然とねじってしまうと、グッと締まって動きが小さくなってしまうことも。
先ほど紹介した「六角柱」のいずれかの角一点を選び、その一点から他の一点へと「なだらかな曲線」で、撫でるようにカーブしてみましょう。
様々な動きのパターン
下の写真にて、多種多様な「ツイスト感覚」をお見せします。
基本的な要素は
・上体やアームスを大きく動かすのは「骨盤から」
・下半身を大きく表現するには「肋骨から」
を意識してみましょう。
腕を動かすにも、脚を動かすにも「背骨全体を含む動き」が大切ということです。
>>> エクササイズ[ 46 ]「ツイスター- エクササイズ-」
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。