【第45回】空間に目を向ける - エクササイズ-
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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
感じ方。考え方によって動きの違いを見いだすイメージトレーニングです。
「目は口ほどにものを言う」とも言いますが、目の前のものを見る、という視覚的な情報を得るためだけの感覚ではなく「目を向ける」という、他の人が見ても「この人はあそこを見ている」と分かるような「意識の方角」として表現できればと思います。
腕のまわりの空気を読む
例えば腕を真横に、アラセゴンにキープするとして、腕を物体として形を見ても、そこから目を離した瞬間に「腕のことを忘れて」しまいます。これは鏡越しに自分の腕を見ても同じ。
腕を取り巻く「環境に意識を向ける」ことで、自分の体から見て「腕がどこに?どのように存在しているか」を感じることができます。
視界のエクササイズ
腕をアナヴァンに上げて、顔を正面に向けます。そうすると目の前の景色の中で下の方に、視界の中に腕が見えますね?
または、腕をアンオーに上げて真横を見ると、視界に大きく腕が入ってきて、言ってしまえば「腕が邪魔をして、見えない景色が腕の向こう側にある」ということになります。
アナヴァンの腕の「上から見るか?下から見るか?」アンオーの腕の「前から見るか?後ろから見るか?」と考えるだけで、動きの性質に変化を感じると思います。
腕だけ動かして、頭がまったく動いていないと「カクカクダンス」に見えてしまい、エポールマンって何?となってしまうので、腕に対して頭を動かす練習もしましょう。
腕を上昇させながら、頭は少し下げて、腕の下から向こうを覗いて、今度は腕を下降する時に、頭は腕の上から覗く。これを繰り返してみましょう。
「のれん」をくぐっては、またひょっこり頭を出す。といった感じです。
腕は一番ポジション。ルルヴェでパッセバランスをする時など、アナヴァンの「まんまる腕の中側」など気を付けると思いますが、アナヴァンの腕の内側の「小さな井戸の中」よりも、腕の外側に広がる「広大な湖」を想像してみましょう。よりバランスは取り易く、次の動きへの流れを感じることでしょう。
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。