【第44回】アームス&レッグス指南 - エクササイズ-
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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
背中から広がるアームス
背中の中心よりやや上方、肩甲骨の狭間には様々な筋肉が網の目のように張っていて、上手に使えば「腕の動きを補強してくれる綱」となり、下手に扱えば「背中を固めてしまう鎖」と化します。腕にとってベストな動き、力は「一番長いリーチで弧を描く」ということを考察してみましょう。
背泳ぎアームス
仰向けで膝を立てた状態で、両腕をアラセゴンに広げて、床スレスレで浮かせた状態に保ってみましょう。そこから腕を頭の向きへ、脚の向きへと、背泳ぎするように「大きい円を描くように」動かします。
このエクササイズを通して感じてほしいのは「ネックレスライン」と「アームホールライン」の輪切リング。腕や首が、ギュッと短く胴体の方へ詰まるようであれば、輪切リング自体がギュッと締まっている、下がる方へ沈んでいる、という弱さの現れ。それぞれの輪切リングの「後ろ側の半円」を意識して、首の裏は引き上がる方へ。腕の裏は広がる方へ張ってみましょう。
また、肋骨前部、みぞおちの辺りが広がって浮き上がるようであれば、腹筋が抜けて、首の裏すじが下がりやすくなるので「肋骨の輪切リング」は内から広げて、骨盤の方へ向けておきましょう。
裏ももスプリット
今度は仰向けで横の開脚です。写真ではかなり容易に開いていますが、股関節が硬い人や、姿勢が辛い場合は、膝を曲げていても構いません。頑張り過ぎずに、深呼吸しながら、脚の自然な重みで内ももがストレッチされるのを感じましょう。
仰向けスプリットの姿勢のまま、次は脚をアンデオールの方へ、上体の方へと持ち上げるように。
股関節の輪切リングを意識して、すくい上げるように、骨盤を巻き上げるように動かします。
前ももの力でグイと引っ張り上げずに、イラストの内もも、裏ももの付け根を意識して「張ったまま巻き上げるように」動かしてみましょう。
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。