【第43回】関節の動きを毛糸の玉でイメージ
- お役立ち
- バレエ・ピラティスによるカラダ講座
掲載
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
関節と聞くと「柔らかい」「よく動く」「よく開く」などが良い状態だと感じるはず。今回は「毛糸の玉」をイメージに使って、良質な関節の作り方を紹介します。
「毛糸の玉」とは、毛糸が絡まって、束になってできた玉なのですが、感じて欲しいイメージはふたつ。
玉そのものを持って、玉そのものを回すと「糸を絡めとる」。これが「詰まる、締まる、固まる、止まる」などの、あまり嬉しくない力。
思った向きに、思った力や流れで、玉から出ている「糸を引っ張り出す」と、玉は導かれるように回る。これが「柔らかく関節を広げる、開く、張る、動かす」などの、求めるべき方向性だと思います。
全身各関節でどうやって糸を引き出すか考える
肩の関節は上のイラストで、少し理解できたのではないかと思います。アンバーで制止しているときも、毛糸の玉をグッと固めずに「緩やかにずっと、動かし続けている」と感じてみましょう。
もちろん、肘や手首も同じく、柔らかく毛糸を引き出すイメージで探ってみましょう。
下半身の各関節
股関節、膝、足首のイメージはどうでしょう?
バレエを踊る上で、脚は「地面を押して体を引き上げる=軸足」であり「脚そのものを長く伸ばし出す=動き脚」でもあるので、関節の毛糸玉も、様々な方向に回さなければなりません。
それぞれの役割にオススメなコンビネーションを、写真で解りやすく紹介します。
背骨の関節間は糸ようじ
背骨もだるま落とし状に積み上げた柱であり、ひとつひとつの関節間を、広げるように動かす意識があれば、より強く、大きく、滑らかに動かすことができます。
背骨の関節間には「糸ようじ」を通すイメージで。間に通した糸ようじを、背骨の関節が「挟むように止めてしまう」と、それは締める、落とすの感覚。糸ようじが抵抗なくスーッと抜けていくような「幅を意識」してみましょう。
糸を引き出す位置や方向に「正しい、間違い」はありません。思った通りのイメージが、関節の動きに反映されているかを感じ取ることが重要です。
どれくらいの力が入っているか?入っていないか?よりも、どんな感じに動いているか?を感覚やパターンとして習得していけるように、レッスンに励みましょう!
>>> エクササイズ[ 43 ]「裏もも&腹筋 Step Up」
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。