【第39回】手足のユビのお導き - エクササイズ-

「エクササイズ」と聞くと「筋力を鍛えるもの」と真っ先に思いつくのでしょうが、今回の「感覚を知る」というのも立派なトレーニングであり、マラソンで例えると「走り方を考える」より前に「走る道を知る」という、とっても重要なポイントとなります。

「手の指とアバラ(前鋸筋)」

手の指。特に親指と小指の押し引きが、肩にどのような影響を及ぼすかの感覚です。
脇の下アバラ部分に、肩甲骨を出すのか引くのかを決める「前鋸筋」が、まるで肋骨を掴む「楓(かえで)の葉っぱ」のような形状で付いています。
この大きな手のような形状が、上から親指~下が小指と、手の親指小指がするアクションと連動していることを知りましょう。

手と前鋸筋.jpg

何か台の上に親指の先端を、スイッチを押すように立てて。まずは手前に引く力を入れてみましょう。脇のすぐ下あたりでアバラが後方へ「キュッと引ける」または「グッと締まる」かのように、腕から遠ざかる感じがするはずです。
今度は逆に押し出してみましょう。同じアバラ部が「ワアッと広がる」または「腕の方へと向かっていく」感じではないでしょうか?

同じアクションを小指で試してみると、アバラの下段の押し引きを感じるはずです。

引ける指脇.jpg

押せる指脇.jpg

この「アバラの押し引き」の感覚が確立してきたら、呼吸に合わせて、指の押し引きと連動して、交互に練習しましょう。

連動する手と脇.jpg

「趾と腿の付け根」

同じことを「趾(あしゆび)と腿の関係」で見てみます。
趾は手の指ほど器用ではないと思いますが、母趾、小趾と別々に頑張ってみてください。

足の親ゆび、特に先端部で「掴むように」床に押し付け、更に手前に引いてみると、前腿、内腿が付け根に向かって「ギュウ~っと締まる」。対して、親ゆびの「根元のあたり」で押しやってみると、それらの付け根は力が入りつつも「押し出る」方向であるはず。
また、小ゆびで同じように試すと、同じ結果が裏腿、外側面に感じられるはずです。

趾の押し引きと付け根1.jpg

趾の押し引きと付け根2.jpg

このように考えると(感じると)、つま先はポイントでもフレックスでも「ゆびの付け根を遠ざけるように」。また地面を押すならばデュミでもポワントでも、「趾の第二関節を張るように」してあげると、股関節の可動域=アンデオールも軸脚の強さも、更にアップするでしょう。


いい感じのポーズ.jpg

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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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