【第36回】 裏ももスローストレッチ - エクササイズ-

ピラティスでも「裏ももを○○して使う」と頻繁に指摘されますが、大多数の人が「裏ももで何をどのようにすればいいか分からない」という反応を示し、教えている方も受けている方も、ショックを受けた顔を隠せずにいられません。

裏ももは急激な判断と衝撃を与えると、ビックリして固まってしまうけれど、的確な指示を与えないと、周りがどんなに忙しく働いていても「僕は何をすればいいの〜?」と呆けてしまう、なかなか手強いお坊っちゃんです。

急に引っ張ると引っ張り返してくる。でも押してあげなきゃ動こうともしない...ならば「ゆっくりと強く伸ばしていく」を試してみましょう。

「裏ももストレッチ」

ランニングをする前などによくみかける、定番の裏ももストレッチです。重要なポイントは、裏ももの筋肉をただ引っ張るのではなく、「押すという作業」をしっかり与えながらも伸ばしていきます。
写真のようにポーズを作ってしまい、フレックスまたはデュミポイントで壁に趾を付けて、ゆびの付け根と趾で、強く壁を「押します」。

「裏ももストレッチ」

裏ももは膝の側からの強い引きが「締まる、固まる」なので、お尻の側からゆっくり「伸ばして、押して」いきます。ゆっくり長い息を吐きながら。吐く息が裏もも→ふくらはぎ→踵へと伝わっていくかのように。裏ももの頂上に体重を掛けながら、遠ざけるようにストレッチしましょう。

「裏ももストレッチ」「スロースクワット(軸移動)」

裏ももは突然動くとすぐ固まってしまう。ゆっくりと強い負荷を掛けながら、今度は重心移動します。
両腕両脚をしっかりと「大の字」に広げ、右脚へ、左脚へとランジで体重を移し、グランプリエ級に膝を曲げます。
ポイントは足裏をしっかり張って大地を踏みしめ、常に両足にほぼ均等の「床を押す力」を入れておくこと。
急いで動かずにゆっくりと。特に片側に大きく膝を曲げ込んだポーズで、深呼吸を一度加えるほど静止してみましょう。

「スロースクワット(軸移動)」どちらのエクササイズも「軸足の踵が浮いてしまわないように」。踵が不意に浮いてしまうのは、趾が掴む力、重心が膝を乗り越えてしまっている、体が硬直してつり上がっている。などが考えられます。
踊っているときにも、踵の緊張は「踊りの硬さ」「繋ぎの不自然さ」と、スムーズな踊りの妨げとなるので注意しましょう。

「スロースクワット(軸移動)」

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バレエ・ピラティスによるカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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