【第36回】 軸脚に教えてもらう軸 〜軸脚独立記念日〜

前回で手に入れた足首の強さに加えて、今回は「軸脚を軸と成るべくしてたてる」方法を考えていきます。
「片脚立ち」の土台の側の脚を「軸脚」としてお話します。

まずは写真AとBを見比べてみて、何がどう違うか?どちらが正しく感じられるか?考えてみてください。

「軸脚」片方の脚でしっかり立つとなると「体重を軸脚に移す」と考えて、股関節の側面、横ポケットの大転子に乗りかかっていくかと思います。しかしこれは「体重を掛けて、股関節を倒す」という結果を作り「股関節を起こす。立てる」とは逆の行為になります。

先に「内ももと裏もも」についてお話しましょう。バレエでも日々の生活の中でも、内もも裏ももはしっかり使うべきなのですが、その状態と使い方で全く異なる効果を生み出すことを知ってください。
どちらも股関節と膝を、縦に結ぶ筋肉としてまとめて説明します。

股関節+膝の間で、短く引き締める=固定、停止
股関節+膝の間で、長く張り伸ばす=動く、運動

「内ももと裏もも」イラストを見てもらうと
1.「骨盤が腿の骨へと寄りかかる」→「股関節が倒れていく」→「内もも裏ももは短く固まる」→「体は落ちる」
2.「腿の骨が骨盤を起こす」→「股関節が立ち上がる」→「内もも裏ももは伸びが出る」→「体は引き上がる」
と感じるのではないでしょうか?

「筋肉のシーソー関係」

背中、お尻、そして裏ももへと。筋肉はどこかで繋がってひとつの流れを持ち、どれかを引っ張り出すと他のどこかが持って行かれる。という関係にあります。
「お尻が落ちないように、引き上げたい!」という気持ちも分かりますが、アルデンテお尻でも紹介したように、お尻が率先して向かう方向性は、他の部位に迷惑を掛けてしまうことも多々あります。

お尻の骨「腸骨」と「股関節のソケット」が、回転するボールとして考えて、今回の「軸を立てる」に役立つ回転方向を、イラストを通してご紹介します。

「筋肉のシーソー関係」ヒップジョイント「首すじと肩関節も同様に」

お尻を頂上でグイ上げすることで出る影響が

・内もも裏ももが引き込まれる→短く締まる→下がる落ちる
・広背筋もお尻に引っ張られて硬くなる→腰が沈む

といった「頑張りが裏目に」出てしまうことに。

逆に「骨盤というミニスカート」を優しく裾広がりにしてあげると、脚が大地を押す力は股関節から直接、腸腰筋ラインを経由して、内から腰椎を直接押し上げてくれるはずです。

この関係性は「首肩まわり」にも同様に適用されます。肩も頂点でグイ上げせずに、優しく裾広がりの力を出せば、背筋の引き上げの助けとなるでしょう。

「首すじと肩関節も同様に」

肩関節と首の関係

Check
>>> エクササイズ[ 36 ]「裏ももスローストレッチ- エクササイズ-」

バレエ・ピラティスによるカラダ講座

fujino.jpg

[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

ayuo300.jpg

[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

ページの先頭へ戻る