【第34回】 Mermaid & Star- エクササイズ-

以前ご紹介したことのあるエクササイズですが、腕や脚へと繋がる大きな筋肉群に焦点を当てて、その流れを良くしたいと思います。

「マーメイド・プラス」

前回は「あぐら」で座った状態でしたが、今回は地面を脚で押す力を加える為、「Z字座り」で行います。
「背中から腕を最大に押し出す」を強調した動きをします。
腕を真っ直ぐ横に伸ばした状態で、中指へと向かう「芯のライン」を見定めて、その起点となる背骨の位置を「真ん中」とします。ちょうど肩甲骨の間、胸骨の真裏辺りです。首の頂点、耳のすぐ下からその「真ん中」までを、腕の上部を伝って親指、人差し指へと向かう「上腕のライン」。「真ん中」から下へ、肋骨の最下部までを、腕の下側から薬指、小指へと向かう「下腕のライン」として、すべてのラインから最も長く腕を出す、「滑らかなカーブ」を描いて、背中の筋肉、皮膚を伸張させます。
まずは写真で「Z字座り」と「それぞれのライン」を確認しましょう。

「Z字座り」

「それぞれのライン」を確認Z字座りの内旋している、横に出している脚から遠ざかる方へ、側屈(そっくつ)を繰り返します。股関節が固くてZ字座りが上手に出来ない場合は、お尻を少し高くしたり、或いは「あぐら」で行って下さい。
腕で大きな「弧を描き」ながら上体を側屈させ、帰りも大きな弧を描きます。肋骨がよく「広がる」ので、息を大きく吸い込みながら側屈して、ゆっくり吐きながら帰りましょう。
どのラインから見ても一番長い距離を作りますが、行きは背骨の下の方から脇の下を通して、グググとシャツを引き出してくるイメージ。帰りは首筋から長く肩や力こぶを下げてくる、遠ざけるイメージを使ってみましょう。

マーメイドの流れ(全面)

マーメイドの流れ(背面)

レベルアップとして、地面を押す脚の感覚も加えます。
体が大きな弧を描いていった果てに、脚で地面を押してお尻を浮かせ、体が帰って行くに当たり、お尻を滑らかに下げてまた座ります。
横に出している脚の腿を、前と裏、内面と外面。すべての面を付け根から、均等に滑らかに「押し出す」を意識しましょう。特に「内腿」をグッと締めるのではなく「伸ばして、遠ざけて、押す」という感覚を試してみましょう。

マーメイド+腰上げ

「半面スター」

先ほどのマーメイドの、お尻を上げたところに近い状態で、今度はお尻から大きく「弧を描く」脚の動きを行います。こちらも前後内外、どの面も、どこから見ても「遠ざけるように押し出す」を目指します。
まずは脚を上げたり下げたりする動きの中で、何を強く引いてしまっているのかを感じて、探し出してみましょう。

「半面スター」

脚を「持ち上げる」ことで、お尻や前腿がグッと締まり、股関節の「折り目」を引き下げてしまっていませんか?また、お尻の下の坐骨の辺りから裏もものハムストリングスへ掛けても、グッと固めていませんか?こちらもお尻がグッと締まって固まる原因になります。
本編でお話したように、大殿筋や大腿筋などの「縮む専門の筋肉」を伸ばすように使うためには、それらの大きい筋肉を丸ごと「向かう方へ送り出す」を感じながら、股関節が自ら「上がっていく、張りを保つ」動きを行う必要があります。上げる時のグッと締まる「頑張り」を鍛えるより、下りていく時の「遠ざけていく伸び」を意識して育ててみましょう。
アレンジとして、前後のスイング。デュバーンとアラベスクも試してみて下さい。

「半面スター」

前後にスイング

Check
>>> 【第34回】大きな筋肉は大らかに〜大殿筋の本領〜

バレエ・ピラティスによるカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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