【第33回】 ジャンプの為の楽しいエクササイズ- エクササイズ-

今回のエクササイズは、ジャンプの高さや移動の「感覚を養う」ための、ちょっと子供遊びのような練習法をご紹介します。

「反復跳び」

「どこまで移動する?」という感覚を、自分で決めて、その力を正確に体に教え込むエクササイズです。
皆さんがご存じの反復跳びは、シャッシャと横っ飛びして瞬発力、体力を養うものですが、このエクササイズの目的は移動幅とコントロールです。
まずは両腕を広げて、その幅を直径とする、自分中心の「円」を地面に想像します。
腰に手を当てて、膝を少し曲げた中腰の姿勢。右左どちらからでも、最初にイメージした円の縁に向けて足を踏み込み、残した足を揃える方に運びます。次に反対の足を、できれば円の反対側の縁へ着いて、残した足を揃えにいきます。右へ左へ、連続してブランコのように動き続けます。

「反復跳び」いかに骨盤ケーキを支えながら動くか?というゲーム感覚でやってみましょう。着いた足位置より向こうへ重心が飛び出さないように意識します。最初は足幅を狭くするのも有りですが、広げた腕の長さより手前には着かないつもりで試してみましょう。基本的に腕幅より狭く動くということは「脚の長さより短い位置に着く」ということになるので、「重心を引く、固まる」を育ててしまいます。幅が広いことには大いに結構!しかし、決めたところに足を持っていくイメージをしっかりと。
レベルアップとして「半回転ひねり」を加えます。
足の着き方も少し内回転させて、体の向きを円の中心に向けて半身回します。足を着き変える度に半回転。円の中心に鏡があって、両サイドから自分の姿を毎回写すように動いてみましょう。

足幅の狭さからの失敗例「半回転ひねり」「縦のエシャッペ&キャブリオール

次は空中で軸を保ち、足をクロスさせるエクササイズ。
最初は直立して、足を揃えた6番ポジション、パラレルで行いましょう。立っているところを「円の中心」として、そこに真っ直ぐのセンター軸を、すっとキープするつもりで続けます。正面を向いたまま真っ直ぐジャンプ。即座に脚を前後に開き、円の前後の縁に着地させます。しっかりとプリエを挟み、動きを絶やさずにまたジャンプして6番ポジションへ戻し、またジャンプして・・・。連続して跳び続け、前後→真ん中→前後→真ん中・・・と繰り返します。慣れてきたら真ん中を通さずに前後にクロスで変え続けるのも有りです。またアンデオールで4番と1番ポジション。アームスを色々とアレンジして試してみましょう。

「縦のエシャッペ&キャブリオール」前後のエシャペ円の縁に開いた脚で立ち、跳び上がると共に脚を空中で揃え、また開いて着地の「キャブリオール」も試してみましょう。男性は空中で2回開き閉じを行う「ダブル」をしっかりできるようになると、大きな「ダブルキャブリオール」の為の練習にもなります。

キャブリオールエシャぺもキャブリオールも、均等に前後に脚を開くことが難しく感じられると思います。しかし逆の発想で考えると、前後に開く脚の力を均等にしようとすることが、軸を真っ直ぐに保つ助けとなる。という感覚も入ってくると思います。
このエシャぺ、キャブリオールのエクササイズの真の目的は、「骨盤の箱の置き位置」を考える。すなわち「高さ」を先に考えることです。最初は無理をせずに「ほぼ元々の高さに維持する」ところから。慣れてきたらハードルを上げていって、男性は「目の高さ」くらいを目指してジャンプしましょう!

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>>> 【第33回】ジャンプの軌跡〜イメージして跳ぶ〜

バレエ・ピラティスによるカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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