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秀 まなか 
[2010.02.10]

パリ・オペラ座バレエで上演されている『椿姫』"La Dame aux Camélias"を巡るニュース

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来日公演を1ヶ月後に控えたパリ・オペラ座バレエ団の『椿姫』が、2月2日にガルニエ宮で開幕した。2006年6、7月のオペラ座での初演、同年9月の再演、2008年6、7月の再々演と、すでに4回目の上演となるジョン・ノイマイヤー振付の作品。今回は、明らかに<通>の匂いを醸し出すマダムや落ち着いたカップルといったオペラ座常連客たちが、連日客席から固唾を呑んで見守っている。
彼らの関心事は主役マルグリットとアルマン・デュヴァルに新たなカップルが誕生することだ。
第1キャストのアニエス・ルテステュとステファン・ビュリョン、第2キャストのクレ−ルマリ・オスタとマチュー・ガニオは前回と同じだが、第3キャスト以降の3組、デルフィーヌ・ムッサンとバンジャマン・ペッシュ、イザベル・シャラヴォラとカール・パケット、オレリー・デュポンとイリ・ブベニチェクは初顔合わせ。初役はパケットのみで、すでにガルニエ宮で踊っている5人はそれぞれ相手役を変えての登場となる。特に、前回の2008年公演には踊らず、約3年半ぶりにマルグリット役を演じることになるデュポンと初演時にルテステュと組んで好評を博した、ドレスデン・バレエからのゲスト、ブベニチェクのカップルへの期待が高まっている。

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準主役級のキャストにはベテランと若手がバランスよく配役されているが、現時点では、初演時からの持ち役を踊る第1キャストの充実ぶりが目立つ。元エトワールで現在バレエ団教師のミカエル・ドナールはアルマンの父親、ムッシュー・デュヴァル役で、人を寄せ付けない厭世感と圧倒的な存在感で異色の光を放ち、マノン役のシャラヴォラも、ぞっとするほどの妖艶さを披露した。プルミエール・ダンスーズに昇進したばかりで同役のデビューを飾ったリュドミラ・パリエロの、粗削りだが、ひたむきで将来性を感じる演技とは、レヴェルの違う貫禄で、彼女が出るたびに舞台をさらってしまうのだ。ガストン・リュー役を初演時から踊り続けている新プルミエ・ダンスールのジョシュア・オファルトも、今回初めて第1キャストとして配役され、気障な伊達男をさらっと演じて芸達者ぶりに拍車をかけている。
今後、同役には演技力に定評のある新プルミエ・ダンスールのヴァンサン・シャイエが初役で挑む予定で、同期のオファルトと同じくらい観客を沸かせるかもしれない。昨年、自身の振付作品『Répliques』で振付者としても、ガルニエ宮でデビューを果たした中堅のニコラ・ポールも、ガストン役に再度取り組む。毎回、スパイスを効かせて独特の演技を作り込んでいた同役を今回はいかに料理するのか、興味深い。官能性を持ち味とするエヴ・グランシュタインも、2度目のマノン役で登場する。

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また、初日が開けて間もない2月4日には「Les jeudis de Bastille」で、『椿姫』が取り上げられ、2008年7月2、5、8日に録画されフランス3チャンネルで放映済みの『椿姫』が全編に亘り上演された。すでにヨーロッパではDVDも発売され、NHKのハイヴィジョンでも放映されたので、ご覧になった方も多いだろう。
アニエス・ルテステュとステファン・ビュリョンの主役コンビに、ドロテ・ジルベール、カール・パケット、デルフィーヌ・ムッサン、ジョゼ・マルティネス、ミリアム・ウルド=ブラーム、シモン・ヴァラストロの実力派が勢揃いした映像。録画日にガルニエ宮で感じたような臨場感はないが、大スクリーンを通すと、DVD再生時には見逃していた繊細な演技を新たに発見し、2時間15分があっという間に過ぎて行った。それでも、長丁場の上映時間に耐え切れず、100人ちょっとの参加者が終了時には30人ほどに減っていた。最後まで堪能した人たちのほとんどは紛れもない、『椿姫』の<通>。ちょっとの合間に本公演の感想を漏らして議論を交わし、質問時間にはここぞとばかりに手を挙げるのだ。かといって堅苦しい雰囲気はなく、舞踊監督のブリジット・ルフェーヴルはあらすじや、見所、エルヴェ・モローの代役で急遽ルテステュの相手役としてビュリョンが起用されたことなどを懇切丁寧に説明してくれるため、全くの初心者でも楽しめる構成になっている。
旧称のカスクルートを、「バスティーユの木曜日」と改めた無料の本催しは、毎週木曜日の13時からオペラ・バスティーユのストゥーディオで行われる。内容は週替わりで、今後、2月11日『ドン・カルロ』の会談、18日、25日はコンサートと、3月4日はプレルジョカージュの新作『シッダールタ』の会見と続く。事前に予約も可能だが、約100席分は当日配布されるため30分前に行けば、大抵の場合は参加できる。ただし、コンサートは人気が高いので、早めに行ったほうが確実だ。
本公演の『椿姫』は3月4日までガルニエ宮で続行されるが、現時点では、チケットは千秋楽までほぼ完売状態である。

Photo Sébastien Mathé
※画像をクリックすると、大きな写真をご覧いただけます。

『椿姫』"La Dame aux Camélias"
アレクサンドル・デュマ・フィスの小説を基にした、プロローグつき3幕
Ballet en un prologue et trois actes d'après le roman d'Alexandre Dumas Fils
音楽:フレデリック・ショパン 
演出、振付: ジョン・ノイマイヤー 
装置、衣装:ユルゲン・ローゼ 
照明:ロルフ・ワルター
リハーサル:ヴィクトール・ヒューズ、クロード・ド・ヴルピアン
オーケストラ:パリ・オペラ座管弦楽団
指揮:ミヒャエル・シュミッツドルフ
ピアノ:エマニュエル・ストロッセル、フレデリック・ヴァイセ=クニッテル