[2007.12. 1]

G2演出・翻訳『ライト イン ザ ピアッツア』

2005年にトニー賞6部門を受賞した名作ミュージカル「ライト イン ザ ピアッツア」。この作品が日本に上陸し、公演が始まりました。

舞台は1953年の夏イタリア、フィレンツェ。旅行の途中のアメリカ人母娘マーガレット(島田歌穂)とクララ(新妻聖子)。ふたりが最初に訪れた広場(ピアッツア)で風に飛ばされたクララの帽子を拾った地元の青年ファブリーツィオ(小西遼生)。若いふたりはたちまち恋に落ちますが、なぜか母親のマーガレットは執拗なまでに二人の仲を裂こうとします。クララの幸せを誰よりも祈っているはずのマーガレットがなぜ?そこには娘の抱えているある秘密を必死に隠そうとする、母の愛情が秘められているのですが・・・。

ブロードウェイでは英語とイタリア語で上演されたこの作品、今回は演出も務められるG2さんにより日本語とイタリア語に翻訳され上演されました。クララはファブリーツィオの話すイタリア語がわからないのと同じように、客席にいる私たちにもわかりません。マーガレットとクララが異国で感じる心細さ、違和感を一緒に体験できるのです。ファブリーツィオの家族、ナッカレリ家の人たちの会話もイタリア語。ファブリーツィオの父ナッカレリ氏(鈴木綜馬)と兄嫁のフランカ(シルビア・グラブ)は英語が話せるという設定ですが、母のナッカレリ夫人(寿ひずる)と兄のジュゼッペ(大高洋夫)はまったく話せません。それでもクララと出会ったファブリーツィオが父と兄に助けを求めるシーンでは3人が何を話しているのか自然に理解できます。きっと恋する若者の苦悩は万国共通なのですね。

クララとファブリーツィオが言葉がわからないながらも一生懸命気持ちを伝えようとする場面がとてもほほえましく、マーガレットの頑なさの理由がわからないうちは観ている方がやきもきしてしまいます。しかし物語が進むにつれ、クララの秘密やマーガレットの思い、アメリカにひとり残っている夫のロイ(久保酎吉)との上手くいかない関係が解き明かされていきます。はたして若い二人は幸せな結婚をし、添い遂げることができるのでしょうか?

キャストの皆さんが口々におっしゃっていたのは素晴らしい音楽のこと。新妻さんによると「聴いて天国、歌って地獄」とのことでしたが、それぞれの登場人物が気持ちをのびのびと歌で表現している上に、鈴木さんが教えて下さった「電子音が全くない」というオーケストラが奏でる音楽。又、G2さんが「唐突に歌い出す違和感」を払拭するために「芝居の時も歌の時もキャラクターや状況が連続している必要がある」、とおっしゃっていたように台詞と歌が自然に混ざり合って物語が進んで行きます。舞台では流れるように転換が行われ暗転がないのが特徴です。ぜひ会場でイタリアの街の中にいるような心地よさを味わって下さい。

1953年という時代設定の中でも、テーマは普遍的。異国での言葉の通じないもどかしさ、文化の違い、それでも大好きな人。若い二人を中心に彼らを取り囲むひとりひとりの人生。それを表現する歌。ぜひ劇場で体験してみて下さい。年末のせわしない、落ち着かない気持ちを明るくしてくれる、暖かい日だまりのような作品だと感じました。


 

「ライト イン ザ ピアッツア」 
●ル テアトル銀座
●演出・翻訳=G2
●出演=島田歌穂 新妻聖子 シルビア・グラブ 小西遼生 鈴木綜馬 他