【第48回】仙骨支点のムーブメント - エクササイズ-
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バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
普段クラスを教えている中で生徒のみなさんから寄せられる質問をヒントに、どうやったらうまく身体を使えるのか、どうしたら使い方をイメージできるのか、現役ダンサーの藤野先生ならではの視点で解説します。
まずは意識する
本題で紹介した「仙骨コップ」は、ガンガン動かして鍛えるものではなく、インナーマッスル、動きを支える芯として、しっかり安定しているか?を確認したいところです。
肩幅くらいの両脚立ちで、両腕は高くバンザイした状態で、少し上方、天井を見上げる目線を保ち、ピクリとも動かないで深呼吸を繰り返しましょう。下腹部の奥に、しっかりした「仙骨コップ」を感じるように。
両腕も首も、忘れた頃に「伸びる〜」という感覚が入ってくるでしょう。
次に好きな方向へ、好きな高さで片脚を上げて、ピクリとも動かずに「仙骨コップ」を感じます。
片脚を上げているということは、骨盤は必ず傾きを感じています。高く脚を上げるのであれば、それなりの大きい傾きが生じますので、それなりの覚悟が必要になります。
無理に「傾きを直して水平に」と思わずに。「仙骨コップ」が傾いたままでいると、裏ももなどが「伸びる〜」が何たるかを教えてくれます。
股関節と骨盤の動きを意識
以前にも紹介した、直立の状態からゆっくり前屈して、ゆっくり起きてくる、スタンディング・ロール・アップのエクササイズです。本編でお話した、股関節と骨盤の位置関係を意識して動かしてみましょう。
両足でしっかり地面に踏み込んで。動きの初めから終わりまで、そう簡単に股関節、骨盤が引けないようにしましょう。また、できる限りゆっくり、スムーズに行ってみて下さい。
動きの道中では「仙骨コップ」の動きをじっくり感じて、前屈しきって止まったまま、今度は仙骨コップから「ゆっくり水が流れ出るように」深呼吸してみましょう。
良質な深層筋群、奥深くのインナーマッスルの働きを感じるには、基本「動かずに感じるもの」「姿勢を安定させる柱」だと、覚えていてください。
バレエ・ピラティスによるバレリーナのカラダ講座
[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)
12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。
●藤野富村バレエアート代表
https://www.fujinotomimuraballet.com
[イラスト]あゆお
仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。