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舞踊評論家:関口紘一 
[2017.08.18]

公演直前情報!
「吉田都×堀内元 Ballet for the Future 2017」公演パンフレットに、直木賞&本屋大賞ダブル受賞作家で、"バレエを題材にした小説を構想中"の恩田陸 と 吉田都、堀内元 連続対談が登場!

今年も“吉田都×堀内元 Ballet for the Future 2017”が開催される。今回は、『ライモンダ』(第3幕結婚の祝宴より)を吉田都が新国立劇場バレエ団プリンシパル福岡雄大と初めてパートナーを組んで踊る。また、近年、踊りのステージが一段上がったと評価の高い新国立劇場バレエ団プリンシパル米沢唯が、粋でお洒落なアメリカンテイスト溢れる堀内元作品を堀内自身や寺田亜沙子(同団ファースト・ソリスト)ら国内外で活躍する気鋭のダンサー達とともに踊る。さらに、堀内元が直接指導したバランシン振付『タランテラ』、ニューヨークの新進振付家エメリー・ルクローンの『And My Beloved』、堀内元振付『Haydn Cello Concerto』などの多彩なプログラムが組まれ、大いに注目を集めている。

だが、しかし、この公演の話題はそれだけではない。『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)で第156回直木賞&第14回本屋大賞をダブル受賞した小説家、恩田陸と吉田都、堀内元との連続対談が実現して、公演パンフレットに掲載されることとなった。周知のように『蜜蜂と遠雷』は、ピアノコンクールを題材に、音楽と才能と運命を描いた、全体がシンフォニーをなしているかのような素晴らしい青春群像小説。ピアノコンクールという、少々特別の世界と思われがちな題材だったが、恩田自身が驚くほど多くの人々に関心を呼び、大きな反響があった。さらに恩田はバレエにも関心を持ち、バレエを題材とした小説の構想もある、と聞き、世界の舞台で踊ってきた吉田都、堀内元と恩田陸との連続ビッグ対談が実現した。対談はとても良い雰囲気の中、バレエと音楽、演劇的バレエ、天才たち、教えること、バレエの観客、コンクール、バレエの振付、観客・読者との接点、バレエの面白さ、などなど、様々に展開して闊達な対話となった。

ここでは、恩田陸×吉田都、恩田陸×堀内元の対談のほんの一部を公開しよう。

◎恩田陸×吉田都より

1708bftf02.jpg吉田都×恩田陸

恩田  吉田都さんのバレエは音楽性が素晴らしい、と多くの方がおっしゃっています。もちろんバレエと音楽は不可分なのですが、意外とそこを語る人は少ない。でも確かに吉田さんの踊りは、踊りが歌っていると感じます。ご自身ではどこが違うと思われますか?

吉田  私は音楽がなければ踊れません。音楽が私を引っ張ってくれたり、押してくれたり、助けてくれます。ロイヤルで振りを習う時は、音楽をしっかりカウントして習います。聞き慣れた音楽でしたらカウントしなくても済むのですが…。

恩田  チャイコフスキーとか、メロディーが有名な古典的なものはいいのですが、コンテンポラリーになると、よくわからないものもいっぱいありますよね。カウントだけでどうやって踊るのだろうって、不思議なのですけれど。

吉田  すごく難しいです。そのカウントを覚えるしかありません。最初に身体に振りを入れる時は、どの音でどの振りというのをきちんと合わせなくてはなりませんが、一度、習得したらカウントは忘れるようにします。そうして、リハーサルしているうちに音楽も身体に入ってくるんです。知らない音楽でしたら、リハーサルに入る前に覚えるまで何度も聴きます。

(・・・・)

──『私と踊って』(新潮文庫)は素敵な作品でした。

1708bftf01.jpg

恩田  短編集ですが、表題作はピナ・バウシュが亡くなった時に書いたものです。あれは一息に書けましたから、自分でも気に入っています。「私と踊って」が書けたので、もう少しバレエで長い作品を書きたいと思うきっかけになりました。

(・・・・)

──先生がファンの方にバレエへのお誘いのお言葉をかけてくださるとすれば?

恩田  とにかく面白いよ。観ないともったいないよ、と言いたいですね。ただそれをうまく説明できないのですけれど。

吉田  とにかく一度、劇場に足をお運びいただきたいですね。次は、バレエのことを書いてくださるのですね。

恩田  そのつもりです。ただ、まだどのように書くかまったくわからず、どのように言語化できるかも模索中です。いくつか、もやもやとは風景がみえているのですが、まだこれだというのはないのです。

吉田  本当に楽しみです。一般の方にバレエを知っていただく大きな機会にもなりますね。よろしくお願いします。

恩田  ダンサーって、本当に特別な存在だと思いますので、がんばります。
 

◎ 恩田陸×堀内元より

1708bftf03.jpg 恩田陸×堀内元

堀内  『蜜蜂と遠雷』は、コンテスタントとして参加する側の心境と、審査員側の心境と、両方が描かれている。そこがまず素晴らしいと思いました。僕も両方の気持ちがよくわかるから、読んでいてそこが面白かった。どうやって双方の心理を思い描かれたのかと、感心しました。

恩田  私も新人賞で作家デビューしましたし、今は選考委員もやっていますので、やはり双方の心理がわかるんです。選ばれるほうは「審査員は勝手なこと言って」と思うけど(笑)、選ぶほうになると「なるほど審査とはこういうことだったのか」と、理解できるところはあります。

堀内  自分がコンクールに出ていたのは30年くらい前ですが、『蜜蜂と遠雷』を読んで、当時の記憶が蘇りました。そうだそうだ、こういう気持ちだったと…。審査側の気持ちもわかるので、読者として感激できると同時に、アーティストとしてどうやってああいう作品の創り方をされたのか、興味があるんです。小説の構想はかなり前から練られていたのですか。

恩田  そうですね。今は弾いていませんが、ピアノを聴くのはずっと好きだったので、本格的な音楽小説をピアノを題材にして書いてみたいと、ずっと思っていました。でもやはり大変で、雑誌に長期連載していましたが、毎回毎回試行錯誤でした。ピアノ曲をひたすら繰り返し聴いて、これはどうやって描けばいいのだろうと考えに考えて書きました。とても苦労しました。

(・・・・)

恩田  やはりクラシック・バレエって面白いですね。よくできているし、よくこんな振付を考案したものだと感心して、私はプティパに悪意さえ感じるくらいです。それをまた時代、時代で違うダンサーたちが踊っているのを観るのって、なんて面白いのだろうと…。バレエという“現象”といえばいいのでしょうか、どうしても身体を矯正しないとできないようなポーズを踊るのは、不自然なわけじゃないですか。なぜこういうシステムができて、それが今も継続しているのか、そこにものすごく面白さを感じます。いつもバレエを観ると、不思議だわ、不思議だわって思います。

(・・・・)

堀内  僕が恩田さんに感謝したいのは、リハーサルをやっている時に『蜜蜂と遠雷』を読んで、少しずつ昔の自分に戻れて、踊っていて楽しくなったこと。あのころの気持ちを忘れてはいけないと思うし、それを期待している観客がいることを思い出すことができました。観客が何を求めているのかと探ってばかりいるのではなくて、正面からぶつかって舞台に臨んでいかなければいけないと、本を読んで感じることがあって、すごく勉強させられました。

写真:角田敦史

▼本公演の公式サイトはこちら
http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/bff/index.html

<出演>(予定)
特別出演:
吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
芸術監督・出演:堀内元(セントルイス・バレエ芸術監督、元ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル)
出演:
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
寺田亜沙子(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)
森ティファニー(セントルイス・バレエ)

福岡雄大(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
岡田兼宜(元米国ダズル・ダンスカンパニー)
末原雅広(スクール・オブ・アメリカンバレエ出身)
上村崇人(元セントルイス・バレエ)

荒井茜/大浦千尋/北元咲和歩/佐々木夢奈/塩谷綾菜/細井佑季/山本茅美/吉村菜奈子(五十音順)
高須佑治/栗野竜一/豊永太優/樋口響/荒木秀生/大西慎哉/ほか、国内外で活躍する気鋭のダンサー達

<大阪公演>
8月23日(水) 開場17:45 開演18:30 NHK大阪ホール
主催:チャコット
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00)

<東京公演>
8月28日(月) 開場17:45 開演18:30 新宿文化センタ―   
主催:チャコット   
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00-18:00)

<札幌公演>
8月31日(木) 開場17:45 開演18:30 ニトリ文化ホール
主催:チャコット/オフィス・ワン 特別協力:TVhテレビ北海道 協力:オフィス・メロディ
ご予約・お問い合わせ:オフィス・ワン 011-612-8696 (10:30-18:00土日祝休)
http://www.officeone.co.jp/

●公演プログラム(予定/上演順ではありません)
「ライモンダ」第3幕(結婚の祝典)より
原振付:マリウス・プティパ 音楽:A.グラズノフ 主な出演:吉田都、福岡雄大、ほか
「Passage」
振付:堀内元 音楽:ルドヴィコ・エイナウディ 主な出演:米沢唯、堀内元、寺田亜沙子、岡田兼宜、ほか
「And My Beloved」
振付:エメリー・ルクローン 音楽:デイヴィッド・ラング 主な出演:森ティファニー、上村崇人、ほか
「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:L.M.ゴットシャルク 出演:佐々木夢奈/塩谷綾菜(Wキャスト)、末原雅広
「Haydn Cello Concerto」
振付:堀内元 音楽:F.J.ハイドン
※上演時間:約2時間(休憩含む)/音楽:録音音源