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香月 圭 
[2017.07.25]

来年2月来日するハンブルク・バレエの2016-17シーズンのグランド・フィナーレ 第43回ニジンスキー・ガラが行われた

来年2月に来日公演を行うハンブルク・バレエは、2016-17シーズンの最終日を迎え、恒例のニジンスキー・ガラ公演を行った。これは「ハンブルク・バレエ週間」と称して、シーズンの終盤に初演作品からスタートし、ニジンスキー・ガラで幕を閉じる節目の公演で、1975年より始まって今回で43回目を迎えた。
シーズン・チケットも早々に完売となったニジンスキー・ガラでは、ノイマイヤー自身がプレゼンターとして登壇し、自ら作品の歴史的な背景やテクニックなどに解説を行い、5時間にもおよぶ公演で観客を楽しませた。今年のテーマ「ロシアのアートと文化」だった(詳細プログラム http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/-43.html)。

1707Nijinsky01.jpg 『ダンバートン・オークス』ナショナル・ユース・バレエ © Kiran West
1707Nijinsky03.jpg 『オネーギン』
アレッサンドラ・フェリ、エドヴィン・レヴァゾフ
© Kiran West

地元紙モルゲン・ポストなどで紹介された公演の紹介によると、ニジンスキー・ガラではハンブルク・バレエ学校の生徒たちによる意欲的な創作も上演された。ハンブルク・バレエのジュニア・カンパニーであるナショナル・ユース・バレエのダンサーたちが、ストラヴィンスキーの協奏曲に振付けた『ダンバートン・オークス』を披露し、注目を集めた。こうした若手に創作の場所や発表の場をプロと並んで等しく提供する環境をノイマイヤーは後進アーティストのために築き上げてきている、という。
また、ゲスト・アーティストとして登場したアレッサンドラ・フェリは、エドヴィン・レヴァゾフをパートナーに、『オネーギン』の「別れのパ・ド・ドゥ」を情感豊かに踊った。
ハンブルク・バレエ団のソリストに昇進したばかりの菅井円加は、ローザンヌ国際コンクール受賞者の先輩でもあるアルメニア出身のプリンシパル、カレン・アザトヤンとヌレエフ版『ドン・キホーテ』を踊った。これは来シーズンのレパートリー入りが決まっているそうだ。
ゲストとして、バイエルン国立バレエのクセニア・リズコワ、エリック・ムラザカリーエフはグリゴローヴィチの『スパルタクス』を踊り、ソビエト時代の時代の空気を再現した。ボリショイ・バレエのアナスタシア・スタヘヴィチとアルチョム・オフチャレンコはラコット版『ラ・シルフィード』を踊り、ロシア・バレエの多様性を垣間見せた。
ストラヴィンスキーにスポットを当てたパートでは、ロイド・リギンズは現代の衣装を身に着け、時空を超えた『ペトルーシュカ』を演じたという。ウィーン国立バレエ団メンバーによる『アルミードの館』も、ノイマイヤーにより現代的ニュアンスを加えられた。『春の祭典』はニジンスキー版やベジャール版がよく知られるが、今回上演されたノイマイヤー版は、ハンブルク・バレエのアンサンブルが躍動感溢れる力強い舞踊を繰り広げたという。

1707Nijinsky02.jpg 『ドン・キホーテ』
菅井円加、カレン・アザトヤン
© Kiran West
1707Nijinsky10.jpg 『スパルタクス』
クセニア・リズコワ、エリック・ムラザカリーエフ
© Kiran West
1707Nijinsky06.jpg 『ラ・シルフィード』
アナスタシア・スタヘヴィチ、アルチョム・オフチャレンコ
© Kiran West
1707Nijinsky09.jpg 『ペトルーシュカ』
ロイド・リギンズ © Kiran West

ロシアをモチーフとして展開したハンブルク・バレエの今シーズンのハイライトは、トルストイの名作をノイマイヤーが新解釈した『アンナ・カレーニナ』世界初演だった(過去にプリセツカヤ、エイフマン、ラトマンスキーなどが振付けている)。
ハンブルク・バレエの2017-18シーズンは、9月17日ジェローム・ロビンズの『ショパン・ダンシイズ』で開幕。ノイマイヤーは、1973年に芸術監督に就任して以来44年間精力的に創作活動を続けている。そして、2020年のベートーベン生誕250年に向けて、ノイマイヤーが初めて彼の曲に振付するベートーヴェン・プロジェクトが、いよいよ始動する。また、2月に菅井円加をはじめ、アメリカのエミリー・マゾンとイタリアのジャコポ・ベルッシの3名がソリストに昇進した。

来年2月の来日公演ではノイマイヤーのドラマティックな『椿姫』(初演40周年を迎える)や『ニジンスキー』『ノイマイヤーの世界』が予定されており、多いに楽しみである。

1707Nijinsky07.jpg 『アルミードの館』
左からミハイル・ソスノヴィキ(ウィーン国立バレエ)、
イヴァン・ウルヴァン(ハンブルク・バレエ) © Kiran West
1707Nijinsky04.jpg 『Fusing』
中国国立バレエ © Kiran West
1707Nijinsky08.jpg 『祭典』
アレイクス・マルティネス © Kiran West
1707Nijinsky11.jpg プレゼンターを務めるジョン・ノイマイヤー © Kiran West
1707Nijinsky05.jpg 観客の喝采に応えるノイマイヤーと出演者たち © Kiran West