関口 紘一
[2011.06. 9]

星組、柚希礼音&夢咲ねねの『ノバ・ボサ・ノバ』『めぐり会いは再び』

1106hoshi01.jpg 『ノバ・ボサ・ノバ』(C)宝塚歌劇団

ミュージカル・ショー『ノバ・ボサ・ノバーーーー盗まれたカルナバル』は1971年に初演、76年99年にも再演されてきた名作で、今回が12年ぶりの上演(作/鴨川清作、演出/藤井大介)。過去のソール役には真帆志ぶき、郷ちぐさ、安奈淳、轟悠、真琴つばさ、というそうそうたる名前が並んでいる。
今回、ソールを演じるのは初舞台をこの作品で踏んだ柚希礼音。それまではあまり宝塚を見ていなかったけれど、この舞台に参加して「凄いエネルギーを感じた」そうだ。『ノバ・ボサ・ノバ』は、「初演の時から毎回ご覧になっているお客様も多いし、歴代のソール役も素晴らしい先輩ばかりなので、あまりいいところを見せようと思わずに、自分らしいソールが演じられたらいい」と今回演じるに際して思った。そしてお客様には、この舞台から「太陽とビーチと風」を感じていただければうれしい、とゲネプロ終了後の取材で語っていた。
柚希はコメントしたように、無理に力まず柔らかく、しかしくっきりと魅力的にソール役を踊り歌った。
リオ・デ・ジャネイロのカルナバルの前夜を舞台に、義賊のソールと富豪の娘エストラールの恋と同時進行するふたつのカップルの恋に絡んだ殺人事件が起こる、というロマンティックでスリリングな展開。素敵なラテン・ナンバーが次々と歌われ、華やかで心浮き立つ色とりどりダンスが踊られる、楽しい舞台だった。

ロマンティック・ミュージカル『めぐり会いは再びーーーーMy only shinin'starーーーー』は、18世紀フランスの作家マリヴォーの恋愛心理喜劇の傑作『愛と偶然との戯れ』に基づいて、小柳奈穂子が脚本を書き演出したミュージカル。こちらは喜劇ではよく使われる主人公の入れ替わり物語で、コミカルなタッチの演出で笑わせる。
ある貴族の娘(夢咲ねね)が婿選びのために五人の候補を呼ぶ。しかし娘は男たちの本音を探ろうと召し使いと入れ替わる。一方、候補の一人、柚希礼音も余興に呼ばれた演出家(彼も候補の一人なのだが)の言葉をヒントにほんとうの女心を知ろうとして、召し使いと入れ替わる。お互いに身分を隠していながら、召し使いに変身した召し使い同士、お嬢様と若様に入れ替わった二人もそのまま恋に墜ちてしまう。そして身分を明かせば失恋してしまう、かなりヤバイ局面を無事に乗り越えて結ばれる。そればかりか、同時に進んでいた三人の候補者たちも、それぞれ自分のエトワールをみつけてめでたさは盛り上がる。さらには、どうしても余興の芝居の結末のアイディアが思い浮かばなかった演出家は、この入れ替わり物語を見事に収めた実績により、王立アカデミーに推薦してもらえる、という落着。作者自身も救ってしまう、エスプリのよく効いたエンディングだった。
侯爵の息子ドラントに扮した柚希礼音は堂々とした演技だったし、伯爵の娘シルヴィアの夢咲ねねが良かった。恋愛の心理を的確に細やかに表現していて感心させられた。

1106hoshi02.jpg 『ノバ・ボサ・ノバ』(C)宝塚歌劇団 1106hoshi03.jpg 『めぐり会いは再び』(C)宝塚歌劇団

宝塚歌劇星組公演
ミュージカル・ショー『ノバ・ボサ・ノバ』-盗まれたカルナバル-
ロマンティック・ミュージカル『めぐり会いは再び』-My only shinin'star-
〜マリヴォー作「愛と偶然との戯れ」より〜


●「ノバ・ボサ・ノバ」作=鴨川清作 演出=藤井大介
●「めぐり会いは再び」脚本・演出=小柳奈穂子
●出演=柚希礼音/夢咲ねね、ほか

kageki.hankyu.co.jp/revue/221/index.shtm<東京>
●2011年6/3(金)〜7/3(日)
●東京宝塚劇場
●SS席11,000円/S席8,500円/A席5,500円/B席3,500円
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/221/