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関口 紘一
[2009.12.15]

マシュー・ボーンのお気に入りダンサー、友谷真実がワークショップとメイクアドヴァイス

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Dance Cubeで「私の踊りある記」を連載している友谷真実が一時帰国。彼女は、マシュー・ボーンのお気に入りで彼の作品には欠かすことのできないダンサーだが、来年には結婚してアメリカに拠点を移す。マシュー作品への参加は、アメリカ・ツアーを中心に活動することになるそうだ。
今回の帰国に際して、チャコットの渋谷スタジオ、横浜スタジオ、彼女の出身地でもある福岡スタジオでワークショップを開催。さらにチャコットのコスメティック部門のメイクアップ・アドバイザーたちに、豊富な国際舞台での経験に基づいた実践的メイク・テクニックをレクチャーした。

渋谷本店の5Fにあるカルチャースタジオで開催されたワークショップでは、マシューの『くるみ割り人形』の<雪の精>の踊りをコーチ。ちなみに友谷は、オフィシャルにマシュー・ボーンのテクニックを教えることを許されている数少ないダンサー&ティーチャー。日本でこの資格をもっているのは、彼女と首藤康之のふたりだけである。
 

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クマのマークを付けたニットパンツを履いた友谷先生は元気いっぱい。手拍子でスタジオ中にリズムを響かせ生徒たちを乗せていく。マシュー・ボーンの独特の、ちょっとあまさのある可愛いい表現を含んだ動きを繰り返していくうちに、次第にみんなが踊る喜びを表して実にいい雰囲気にある。
一通り<雪の精>のパートを踊れるようになったら、マシューの動きの感覚を身体に残したままグループに分かれて、簡単なアンシェンヌマンを創ってみるように指導していく。
限られたわずかな時間だけれど、ダンスを創る、という試みが、普通のクラスとはまた別の脳を刺激して楽しさがいっそう盛り上がる。
やがて「ああ、可愛い!可愛い!」という生徒たちのの作品アイディアを賞賛する友谷先生の声がスタジオの外まで聞えて、熱血ワークショップは終わった。そしてなんと30分以上も終了時間がオーバーしていた。
 

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友谷真実は、マシュー・ボーンのカンパニーを中心に、ロンドンのウエストエンドからヨーロッパ各都市、ブロードウェイなどで踊り、『くるみ割り人形』では主役のクララを始め4役を演じ分けた。さらについ先日までは、やはりロンドンのアルバート・ホールで『王様と私』に出演するなど、様々な役柄を様々な舞台で踊った経験が豊富。彼女が帰国した機会にチャコットのメイクアップ・アドバイザーが東京はもちろん、福岡、大阪、名古屋からも集結。チーフメークアップアーティストの酒屋仁を中心に、様々な舞台メイクの実際についてレクチャー&意見交換を行った。

まずは、チャコットのコスメセットを使って、実際に友谷がメイクアップを行いながら、いろいろな会話が交わされる。彼女は、劇団四季時代から先輩からの教えを受けながら経験を通じて、様々なテクニックを修得してきたが、酒屋仁と対話しながらその一端を披露いていく。
マシューの『くるみ割り人形』に登場する孤児院の子供たちのメイクを左半分に、さらに右側には老人になるエイジメイク。ほとんど同時進行だが、その都度気付いて語るアドヴァイスがじつに説得力がある。たとえば、

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『くるみ割り人形』の主役のクララをやったときは、カンパニー指定の着けまつげ、ほほべに、口紅などを使ってメイクした。
子供のときはあっさりとかわいいく作り、衣装とヘアをうまく合わせることがコツ。
自分が扮する役柄のキャラクターのイメージを大切にしながら主役とのバランスを考える。特に主役と同じ衣装だったりした場合は、あまり目立ちすぎないように工夫する。
筆だけでなく指を使うと、自然に熱があってうまくできることが多い。
そのほかにもつけまつげのカールのさせ方、糊のつけ方、目がパッチリするつけ方、長すぎると切ったりするので、小さいハサミを持っていると便利。などなど実際に役立つ情報がいろいろと話されているうちに、左右二つの顔が一式となったメイクアップが完成した。

そしてやはり気になるのは、海外の舞台で踊る時は日本とどういう違いがあるのか、ということ。
海外公演について話がおよぶとまず、「外国でもチャコットのパウダーは評判が良くて、ダンサーたちから帰国したらぜひ買ってきてほしいと頼まれる」とうれしいお言葉もいただいた。
たとえば、日本人はすぐブルーアイシャドウをするけれど、黒目だから肌に合う色にしたほうがいいと思う。

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それから、外国人は筆をよく洗って長持ちさせるから、筆を洗う道具がセットになっているといい。彼女も筆は使う色ごとに4、5本もっているそうだ。
マシューのカンパニーはゴシック調のメイクをすることもあるので、そういうときは目の下にも短めのまつげを着ける。
海外公演の場合は、特に子供と共演する時には、触ってはいけないし、プライバシーに触れるような話もしてはいけない、といったことも気をつける必要がある。
ユニオンがあるので、ブレイクの時間など細かいことが法律で決められている。時間の対応にも気をつけなければならない。自分のメイクの時間が調整できなかったら、カンパニーと相談する。作品によっては、クイックチェンジが必要な舞台もあるし。
それから東洋人として、西洋人に扮して西洋人たちと一緒に舞台に立たなければならないことが多くなる。そうすると共演する西洋人の中にはいろいろと意見を言ってくる人もいる。しかし、どうやっても顔自体を変えることはできないのだから、共演する西洋人と一緒にならんでもらって鏡でみて、実際の印象を確かめてみる。無理に作るより、個性を磨いてバランスをとったほうが賢明だと思う。実際に前から見た印象をなによりも大切にしたほうがいい。

そのほかにも、いろいろとお役立ち情報があったし、コスメ製品への具体的かつ有益なアドヴァイスもあったが、これはもちろん企業秘密。
友谷真実先生の今後のご活躍に大いに期待したい。