『J:ビヨンド・フラメンコ』

"JOTA de Saura"
監督&脚本:カルロス・サウラ

『カルメン』『恋は魔術師』『血の婚礼』のフラメンコ3部作で知られる、カルロス・サウラ監督は現在85歳。スペインの東北、フランスと国境を接するアラゴン州に生まれた。すぐ東側は、最近、独立問題に大きく揺れるバルセロナのあるカタルーニャ州だ。
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 カルロス・サウラ監督の最新作『J:ビヨンド・フラメンコ』は、彼の故郷に伝統的に継承されてきた「ホタ」と呼ばれる音楽・舞踊を、素晴らしいスペインのアーティストたちが歌い踊る素敵なドキュメンタリー映画である。「ホタ」はフラメンコのルーツの一つとされる音楽・舞踊だが、今日も発展しながら継承されて歌われ、踊られている。
映画ではまず、「ホタ」のステップを習う今日の子供たちのクラスが映される。そしてアラゴン州の各地、カランダ、アンドラ、アルバラテ、サラゴサなどに伝わる「ホタ」が踊られる。素朴な踊りだが、実に表情が豊かで懐かしさがこみ上げてくるようだ。こうしたスペイン各地の様々な音楽・舞踊が混然として混ざり合って、自ずと様式性が整えられて、今日のフラメンコが形成されてきた、ということが良く解る。
そしてなによりもスペインの舞踊・音楽のスターたちの圧倒的な舞台を、サウラ監督の華麗な映像美が流麗に描き出していること。ルイス・ブニュエル監督を尊敬しているというサウラ監督らしく、時折、閃光のように現れるシュールなイメージが魔術的に舞台を彩っている。

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 スペインの国民的スター、サラ・バラス、神の声の伝道師と称えられたギターの名手パコ・デ・ルシアの後継者カニサレス、天才的バグパイプ奏者カルロス・ヌニュス。「ホタ」舞踊の第1人者で振付家でもあるミゲル・アンヘル・ベルナ、「ホタ」を現代の歌として歌うホップスターのカルメン・パリスなどが次々と登場して歌い踊る。ダンサーたちの華麗なステップにはたちまち魅了されてしまうが、踊るのはダンサーだけではない。歌手も奏者も歌いながら演奏しながら踊っている。この映画を見れば、観客もまた、即座に踊りだしたくなること間違いなしである。まさに音楽と舞踊が身体の中で一体化して、人々の生活の中に脈々として生きている姿が実に素晴らしい。
南欧に棲むという毒蜘蛛タランテラ、この蜘蛛に噛まれたら踊り続けて汗をかいて毒を出さなければならない、という言い伝えをイメージした踊り。サラゴサ出身のシンガー・ソング・ライター、ホセ・アントニオ・ラボルデータのスペイン内戦への激しい抗議にオマージュを贈る「ロサ・ロサエ」なども忘れがたい鮮烈な印象を残した。

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カルロス・サウラ

11月25日(土)Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー

©TELEFONICA STUDIOS, DTS, TRESMONSTRUOS MEDIA, TRESMONSTRUOS PC, ARAGÓN TELEVISIÓN

公式サイト:j-beyond-flamenco.com
監督:カルロス・サウラ
出演:サラ・バラス/カニサレス/カルロス・ヌニェス/ミゲル・アンヘル・ベルナ/バレリアーノ・パニョス/カルメン・パリス
原題:JOTA de Saura/英題:J:Beyond Flamenco/2016年/スペイン/スペイン語/90分/ビスタサイズ/5.1ch/DCP/カラー&モノクロ/日本語字幕:渡部美貴/字幕監修:小倉真理子
後援:スペイン大使館/セルバンテス文化センター東京/一般社団法人 日本フラメンコ協会/公益財団法人 日本スペイン協会
配給:レスぺ 宣伝協力:Lem 

ステージ & ワークショップ/シネマ

[ライター]
関口 紘一

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